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SOS 038 取引

 ガジェットは淡々と説明をする。


 そもそもシルビアを捉えたのは、フランドルを尾行していたためであり

身元の確認が急務だったためだ。その中で、冒険者ギルド職員であることが

判明し今回の任務に差しさわりがあるとのことで

拘束することになったのだ。


「フランドル様は新国王陛下の現状を憂いておられるのだ」


「憂う…?」


 シルビアは少し考えて、あの事かとあたりを付けた。


「気質のこと、ですか?」


 ガジェットは少しだけ顎を引く。


「そうだ、新国王であるセルバンテス様は、

お優しい御方だ。

戦術ギルドのご出身でありながら、

他者を傷つけることを何より恐れておられる。

故に、指導者としての疑義を投げかけられることがある」


 シルビアは黙って聞く。職員間では有名な話だ。


「フランドル様はそんな針のムシロにセルバンテス様を据え置くことが

どうしても我慢ならなかった。

今回《洞穴》を最初に発見したのは、

本当は自由冒険者ではなく、我々戦術ギルドが囲う、専従冒険者なんだ」


 なるほど、と合点がいく。


「つまり新国王さまの《巡幸》で?」

「演習の一環として新たに発掘された《洞穴》の探索へ向けて、

国王様自らが陣頭指揮を取りあわよくば踏破していただきたいと考えていたのだ」


 そうか、とシルビアは思う。


 王都から離れた外周を守る4都市では

冒険者ギルドの権限が強い。それは、国防という観点はもちろん、

異人種対策の側面として戦術ギルドでは軋轢を起こしてしまうことが多いからだ。


 冒険者には出自の不明な異人種も多い。

しかし、一度ギルドへの登録をしてしまえば、

一定期間は他国のギルドへの流入は国家間規約上制限される。


 冒険者ギルドは、そういう所属不明の異分子戦力を

上手く手なずけて自国に囲うことを目的としている側面もある。


 《巡幸》自体の目的が各地へ国家の威信を見せつけるために行われるもので、

もともと王都戦術ギルド保有の王室近衛隊という最大戦力がついてくる。


 戦術ギルド出身の国王ということもあれば、特例措置として

戦術ギルドが主導で探索に乗り出すことも出来るだろう。


 フランドルからすれば、それだけの戦力があれば

新規発掘の《洞穴》だろうと問題はないと思えたのだ。


「別に誰かを犠牲にするわけではない。

ただ、新国王陛下には、

安心してその座について頂きたいだけだ。

協力してもらえるか?」


「…その見返りは、なんでしょう」


 シルビアの返答に、ガジェットは薄く笑う。


「求めるものがあれば、言ってみろ」


 





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