表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
245/253

SOS 245 自室

「……リオン様ー?

どうされたのですか?

難しいお顔をされておりましたが」


 ミオンが声を掛ける。エルダナリヤの末子、エルダナリヤ・リオンは

王都にある自宅の一室で寛いでいるはずだった。

 しかし、部屋を訪れたミオンは窓辺に立ちながら思案しているリオンを見て

何か問題が起きたことを察した。


「ああ、ミオン。いえ、別に何がというわけではないのです……

ただ、お兄様とお父様が一緒に謁見する方について、

誰に尋ねても答えが無いので、少し気になりまして」


「地方から来るという客人でございますね。

フィリップ様の給仕からは特に取り立てておかしな話はございません。

お気になさるほどのことでは無いのではないでしょうか。

役目はどうあれ、貴族関係者であればエルダナリヤ家に

挨拶されるのはしきたりのようなものですし」


 フィリップはリオンの大兄であり、エルダナリヤ家の長兄だ。

父親であるファーガソンの個性を薄めたような人間であり、

取り立ててそれ以上の評価は無かった。


 悪人では無いが、善人でも無い。個性もアクも少ない

調整役のような人だ。


「まあ、もし何かあればわたくしの方でも探っておきます。

大したことは聞けませんが、それでもよろしければお任せ下さい」


「………ありがとう。ミオン」


 二コリと笑い、リオンはやや張りつめた表情を和らげた。

それを見て、ミオンは安心したのか、ペコリと頭を下げると

自分の仕事へと戻っていく。


 しばらくしてリオンは少しゆっくりしたいとミオンに伝えると、

ミオンは一段落した清掃を終了させ、静かに部屋を後にした。


「……ミオンには気を使わせてばかりですね」


『それが給仕の仕事でしょうに』


 リオンの独り言に反応したのは、窓辺の小鳥だった。

正確には小鳥の姿を模した何者かだ。


「サイエン。また新しい擬体を作ったのですか?」


『いや? これは前から持ってるやつだけど。

見せたこと無かったっけ?』


 可愛らしく小鳥が小首をかしげるが、

その中身は凶悪で狂気な意志が詰まった怪物だった。


「ギルドの件ですか?」


『それもあるけど、ちょっと《リンネ》の奴が

勝手に動いててさ。何かしでかしそうなんだよね』


 リオンはその言葉にピンと来る。

兄と父が謁見するというのはそれではないかと。


「もしかして、ゼンさんの……?」


『ご明察。既に接触したらしいの。

まったく、どいつもこいつも言う通りに動かないわ』


 小鳥が肩を落としてうな垂れる。

リオンはそれが本気か冗談かはともかくとして、

サイエンが思っている本音であるとは感じた。


「……我々はそれぞれの目的が違いますからね」


『わぁってるよ。んなこと今更聞きに来たんじゃないわよ。

それ故に、協力できることもある。でしょ。

別に若様のやり方をわたしは否定しない』


 サイエンが苛立たし気に言い放つ。


『そんなことじゃない、問題はリンネの奴が

多分嘘をついてるってこと』


「嘘、ですか?」


『あいつ、私たちの敵かもしれない』


 リオンがその言葉に反応する。


『もしそうなら、私はあいつを殺すよ。

どんな手を使っても』


 リオンはその言葉には反応せず、黙って目を瞑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ