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SOS 243 茶会

「決着が付いたようですねー。

読み通り、ゼン君の部下が勝ったようですよー」


 わざとらしく双眼鏡のような仕草をしながら

トレイシーは報告してきた。

 あつらえたような休憩室は、上質で

洗練された調度品で統一されている。


 慣れない扱いに戸惑いながら、

ゼンはトレイシーという女と一緒に

お茶を啜っていた。


「見えているんですか?」


 周囲にはもちろんテレビ画面などは無く、

その試験会場を映すものはなにもない。


「ええ。この《真眼》で」


 トレイシーは可愛らしい仕草で

自分の両目を指し示す。

 そうすると幼い顔立ちがもっと幼く見えた。


「……それって、千里眼みたいなものですか?」

「セン……? それが何かは分かりませんが、

遠くまでよく見える《神贈物(ギフティ)》です」


 ギフティと言うことは、恐らく生まれつきの

能力か何かだろう。

 白雪の講義で聞いたことのある単語だった。

 一方、ゼンの引っ掛けにはかからず、

サイエンとの繋がりは特に見えなかった。


「しかしお強いですねぇー。

しかも可愛らしい。

どっちが本命何ですかー?」


「……そういう関係じゃないですよ」


 ゼンが普通に答える。どちらかと言えば、

気になっているのはトレイシーの真意だった。


「そんな警戒しなくてもー。

純粋にお会いしたかっただけですよー」


 本当にそう思っているようで、

トレイシーに屈託は無かった。


「それに、ゼンくんも私に聞きたいこと

あるんじゃ無いですか?」


 ゼンは特に動揺はせず、トレイシーに聞き返す。


「その《真眼》は心の中まで見えるんですか?」


「うーん、そうとも言えるし、そうでもない

とも言えますねー」


 ふざけているような返答だが、

ゼンはそうは思わなかった。


 自然とその眼をこらし、トレイシーを見る。


「(……んー? 何かゾワゾワします?

コレが視られる感覚かー。

確かに気味悪いですねー)」


 トレイシーはニコニコ笑顔をそのままに

ゼンの凝視を身に受ける。


「つまり、現在時点の万物を見通す眼、

と言うことですか?」


「……んー? ご明察?

ほぼ正解ですー。さすがですねー。

隠しても無いですが、

その通りです」


 つまり、過去視と未来視は出来ないと。

ただ、それでも驚異の能力と言えた。


「出来れば秘密にしてもらえるとありがたい?」


「それは、はい」


 ゼンもそういう趣味は無かった。


「やっぱり、ゼンくんは面白い人ですねー。

異世界から来ただけあります」


 ゼンはその言葉を聞いて安心する。

やっぱりこの人は、知っている側の人間だった。


「……トレイシーさんは、僕の何を

ご存知なんですか?」


「んー? それを言うなら反対だと思いますがー?」


 トレイシーはニコニコ笑顔で聞き返す。


「私に何を聞きたいんですかー?

お値段相応でお伺いしますよー?

コレでも私、占術士なんですよー」


 ゼンは考える。この場には

自分しか居なかったから。



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