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240/253

SOS 240 本質

 シルビアは炎柱の動きを読み切って、

最小限の動き方でその脅威をやり過ごす。


 不規則に動くように思える炎柱だが、

ソアラに掛かり切りの状況で

同時指揮は不可能だ。


 自動運転に近い炎柱であれば、

動き方や反応も予見するのに造作は無い。


 シルビアはそのままソアラを中心とした

暴風圏内へと駆け込んでいく。


 シルビアの瞳は今、擬似的な《真眼》の役割を

発現させていたのだ。


「(あれを避けたか)」

「(でも何が出来る?)」


 目端で捉えた現象を事実と認識しながら、

ファティマとペルシーは猛攻を止めない。

 ソアラを潰すのが勝利の近道だからだ。


『ソアラお嬢様。改めて言いますが、

お嬢様は大きな思い違いをしています』


 亀のように耐えながら、ソアラは白雪の言葉を

反芻する。

 シルビアとは違い、ソアラは

白雪の言葉を信用していた。

 シルビアからすれば、ソアラのように

他人の言うことを直ぐ真に受けるようなのは

お人好しであり、いずれ騙されると

言われたがそれは逆だ。


 ソアラは幼い頃から英才教育を受けており、

その結果として他人の感情、

特に悪意や敵意には敏感だった。

 シルビアと白雪が、どういう背景であれ、

ある意味正直な意見として伝えてくれる言葉を

疑う理由など無かった。


『今までの教師は、例外なくソアラお嬢様に

神導術の制御方法を教えたのではないですか?

しかし、そんなものは無意味です』


 ソアラは被弾しているが、被害は軽微そのものだ。

最大限に凝縮と圧縮を繰り返した肉体は、

鋼鉄など比較にならない堅さとなっていた。


 唯一の問題は、

その歩みも亀の如く遅くなっていることだ。


『言うなれば、ソアラお嬢様の力は

戦術兵器と同じです。

普通の教師はこう考えたのでしょう。

ウサギ一匹を狩るのに、

山を消し飛ばすような兵器は不要だと。

故に、弓矢の威力までその力を

制御させる必要がある、と』


 攻撃は通らないが、まともに攻撃を

当てることは難しい。

 既に二度も見られている攻撃手段が

ファティマとペルシーに通じるとは考えにくい。


『それは逆です。

であれば、山を穿つほどの弓矢を

生み出せば良いのです。

力は込めてこそ力なのですよ』


 しかし、ソアラはシルビアを信じ、

ひたすらに力を込める。

 今までの教師では絶対言わなかったであろう

全力を白雪は求めてきた。


 それが単純に嬉しくて、

ソアラはひたすら繰り返す。


「堅く、強く、速く」


 ギュルリと神導力が圧縮され渦を巻く。

密度だけでなく、回転力もその弓矢に加えていく。


 ファティマとペルシーは一見してその力の渦に

原初的な恐怖を抱く。


「(何て)」

「(馬鹿げた力を)」


 シルビアはその身を渦中へと投げ込んだ。

ファティマとペルシーは最低限の身体防御をこらすと、

シルビアの攻撃は完全に無視した。


 神導術は万能ではない。

あれだけの幻術を使役する術士が

攻撃手段も強力であるハズが無い。


「(コレは陽動)」

「(隙を見せれば負ける)」


 シルビアは両手にある指輪を媒介に

初めての術式を編み出す。


「加速と減速。それがあんたたちの本質でしょ?

だったら答えは 単・純・明・快 よ!!」


 シルビアは力を込める。それは神導力ではない、

単純な意志の力そのものだ。


「《逆理》」


 その瞬間、ファティマとペルシーの世界が歪む。




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