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237/253

SOS 237 強化

 ソアラはその攻撃を眺めながら、

とても冷静に力を練っていた。

 その方法は単純かつ明快な身体強化だ。


 ただ一つ違うのは、今までに使っていた身体強化とは

比較にもならないぐらい、膨大な神導力を

その身に注ぎ込んでいることだった。


「(この娘……!)」

「(避けない!?)」


 それどころか、防御すらしない

棒立ちの構えだ。


 ファティマとペルシーは瞬時の判断で

致命傷を避けた部位に攻撃を加える。

 即死では元も子もない。


 ガァイン!!


 しかし、その気遣いに意味は無く、

斬りつけた剣は中程からポッキリと

折れてしまう。


「「なっ!?」」


 斬りつけた感触は鋼鉄と見紛う程に頑強で

生身の肉体とは思えなかった。


「(流石にサングリッド!)」

「(盾役としては最高です。……が)」


 一瞬の驚愕を抜け、二人は固有術式を

発動させる。


 剣術式・焔

 剣術式・冰


 術式効果を武器に纏わせたその攻撃は

速さと強さを乗倍させる。


「堅いだけでは勝てませんよ!」


 灼熱の業火が巻き起こる。


「どこまで耐えられますかね!」


 氷点下の冷気が吹き荒れる。


 速さも鋭さも一級品の攻撃だった。


 しかし、ソアラはそんな二人すら

ほとんど意識していなかった。


 反芻するのは、白雪の言葉だけだ。


「堅く 強く 速く」


 ソアラは一足を踏み出す。

力を込めた一歩だ。


 ズン! と地面が揺れ、波動が巻き起こる。


「なにっ!」


 その余波で、ファティマとペルシーは身体ごと

押し返された。


「神導力の波紋? ですが、攻撃としては

大したこと――――」


 ソアラが拳を握り締める。そして、

力を凝縮して素直に拳を突き出す。

 真っ直ぐ一直線にその拳は空を裂く。


「え?」


 ファティマが偶然、その身を傾ける。

別に意識をしたわけでは無く、たまたま姿勢を正した結果

そうなっただけだが、それが彼女の命を救った。


 パァンと弾けるような音がして、ファティマの構築した灼熱の剣は

完全に消失した。本来であれば形を持たないそれは

通常の攻撃で消すことなど出来ないが、

ソアラの攻撃はその概念すらもやすやすと消し去った。


 そしてそのまま攻撃は、破魔石の壁にぶち当たる。


 ズズズゥンという重低音とともに、部屋全体が揺れる。


「な!?」


 ペルシーがそのあまりにバカげた出力に目を剥き、

一瞬だけソアラから意識を外してしまう。


「ペル! 避けろ!」

「!」


 ソアラの次弾が空を裂く。先ほどと同質の攻撃が

ペルシーの顔面めがけて飛ぶ。

 首を捻り完璧に避けるが、その攻撃は周りの空間を根こそぎ持って行き

ペルシーは風にあおられる木の葉の様に姿勢を崩し膝をつく。


「(何て威力……!)」

「(かすっただけで……!)」


 ファティマが無傷だったのは、ソアラの攻撃精度の甘さによるもので、

ペルシーが無事だったのは、ソアラの攻撃が馬鹿正直だったためだ。


「堅く 強く 速く」


 ソアラは呪文のようにそれを唱える。


 ファティマとペルシーは、一気に警戒強度を引き上げる。

舐めていたわけではないが、サングリッド家の火薬庫は

ただの問題児では無かった。


 それに気づいた二人は、最大級の攻撃術式を構築し始める。


「(幸い、攻撃は単純そのもの!)」

「(弾切れを待って、反撃するわよ!)」


 二人の作戦は至極まっとうなものだった。

ゆえに、今回は悪手であると言えた。


「お姉さま方、何かお忘れではないですか?」


 シルビアが笑った。


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