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SOS 234 回顧

「……こんな場所もお持ちなのですね」


 シルビアが驚いたのは、その内装だ。


「ええ、意外でしたか?」


 ミラルダは笑顔で壁をなぞる。

修練場と聞いて、シルビアは簡素な建物、

あるいは屋外を想像したが、実際は

堅牢な屋内の大部屋だった。


 壁と床、果ては天井や扉に至るまで、

最高品質の破魔石が組み込まれている。

 戦術級の大方陣でも壊れないと思えるほど

異常なまでの拘りようだった。


「ベゲッドの一族が大事にしているものは

実はお金では無いのですよ」


「え?」


 ミラルダは誰に聞かせるでもなく、

呟くように言った。


「五体満足であれ。

思慮明晰であれ。

先見後解であれ。

そして、一戦必勝であれ。

という家訓を守っているだけなのです」


「(えっと……どういうこと?

分かる? シルビアちゃん)」

「(つまり、

怪我をするな。

馬鹿になるな。

先を読んで動き、振り返り理解しろ。

そして戦うなら必ず勝て。

ということよ。

意外にまともというか、

らしい家訓ね)」


 シルビアとソアラが指輪の回線を利用して

秘密裏に会話をする。

 ミラルダには二人とも押し黙っているように

しか見えていない。


「(……あー、何かそれ、白雪ちゃんの講義を思いだす)」

「(……癪ですが、私も思いだしてましたよ)」


 ゼンとともに出立してしばらくしてから、

白雪はソアラとシルビアに対して、一つの提案をしてきた。


「(あの時、シルビアちゃんってば悔しがってたよね)」

「(そういうあんたも、手も足も出なかったじゃない)」


 シルビアはいつもの不機嫌な顔でソアラを睨む。

シルビアにとっては、思いだしたくない記憶だった。






「一つ、提案がございます」

 白雪が改めてその言葉を口にした。


 宿屋から少し離れた林の中で、

シルビアとソアラは白雪の出した白糸で後手を縛られ、

完全に無力化されていた。


「……何よ」

 シルビアは悔しそうな顔で白雪を見上げる。


「シルビアお嬢様。ソアラお嬢様。

御二方は弱くありません。しかし、

強者を前にしてきり抜けられるほど

飛びぬけて強いわけではありません」


 はっきりと告げられて、シルビアは歯噛みする。

もっとも、反論の余地も無い状況ではあった。


 シルビア、ソアラの二対一で白雪に惨敗したのだから。


 しかも白雪はかなりの手加減をしていたというのに。


「そこで、王都に着くまでの間、

御二方の修練を積ませていただきたいのです」


 白雪の目は真剣そのものだった。


「……それって、ゼンのため?」

「はい、その通りです」


 全くぶれない白雪は、大真面目にゼンのことだけを考えていた。


「その修練を積めば……私たちって、強くなれるの?」


 ソアラが仰向けになったまま、白雪に尋ねる。


「私の目算が正しければ、少なくとも私とマリンを相手にして

互角にはなるでしょう」


 シルビアが反応する。白雪が言うだけあって、マリンは強い。

そして、シルビアはその強さを求めていた。


「……どうすればいいの?」

 シルビアが素直に聞く。


「まず初めに、お二人の持っている思い違いを理解してください」


 白雪は二人を見降ろしながら、

ゆったりと話し始めた。

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