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SOS 232 金貨

「急を要するというのは、本当の話です。

さあ、皆さん寝ている場合ではありませんよ」


 白雪がパンパンと手を叩く。

他の連中は避役族のビーツに任せて

四人以外の人払いは終えていた。


 寝かせたという表現に不満を持ちながら、

四人はヨロヨロと立ち上がり姿勢を正す。

 短い付き合いだが、白雪への対処法は

四人とも理解している。


「説明は後日ゆっくり行います。

現状の報告ですが、ご主人様が王都の

商会と専属契約を結ぶことになりました」


 その言葉に

ソフィア、シュリとシュラは反応した。

 ベルはイマイチピンときていない。


「その影響もあり、謁見の格式が

上がったため

私とマリンは同行が出来なくなりました」


 二人は存在自体が闇に寄っている。

表の世界では動きにくいのだ。

 普通、王都への召還は最初の謁見を

下級貴族が行う。

 そのため白雪とマリンもそこまでは同行が

可能であると踏んでいたが、

 王都商会専属となれば違う。


 王都の商会は言うなれば半貴族だ。

貴族の血を引く者しか、名乗ることはできない。

 王室専属・貴族専属の次、王都商会専属となれば

上から三番目の格式となる。


「謁見を行うのは四聖貴族のいずれか、

となるでしょう。出自不明の私達では

その場に近付く事すら許されません」


「ん? でもご主人様の力なら、

そういう情報も書き換え出来るのでは?」


 ソフィアが普通に言う。

 そのソフィアを白雪が一瞥して、

淡々と否定する。


「わざわざそのために危ない橋を渡るのは、

得策ではありません」


「まあねえ。……というか、

そもそもどうしてそういう話になったんです?」

「そうそう、王都商会専属なんて

カネとコネの世界ですよ?

ご主人様がそういうつてを持っていても、

まあ、不思議じゃないですけど……」


 シュリとシュラが意見を合わせる。


 白雪は珍しく口ごもり、渋い顔をする。


「あー、女絡みですか?」

 ベルが図星をついた。


「言葉には気をつけなさい。ベル。

……ですがまあ、その通りです。

トレイシーとかいう女のせいで、

ご主人様が王都ベゲッド商会のご令嬢に

目をつけられました。

どちらも厄介な相手です」


「ベゲッド商会!?

超大手じゃん!」

「うわー、すげえなうちのご主人様」


 シュリとシュラが感嘆する。

他種族のソフィアも目を丸くした。


 ベルはふぅんという感じで聞いている。


「……ともかく、事態は余談を許しません。

万が一に備え、こちらの体制を整える

必要があります」


 白雪は頭を切り替えて説明を続ける。


「そこで、ソフィア。あなたに暫定的な

給仕長の権限を与えます」


「……はい?」


 急過ぎて、返事が普通になるソフィア。


「期待役割は三つ。

この家の防備体制の強化。

商会との折衝の担当。

そして、トレイシーなる女の正体を

探って頂きたいのです」


「……断る選択肢はなさそうですが、

先立つものが必要ですよ?

ご主人様の稼ぎが良いとしても、

ちょっと無理が――」


 ドスンと袋が目の前に落とされる。

見た目に分かりやすい、金貨の詰まった大袋だ。


「あと四つあります。

使い方は分かりますよね?」


 子供に言い聞かせるような声色だ。


 さすがにソフィアも冷や汗をかく。

裏の世界では、金貨一枚もあれば

十人は殺せるだろう。


 一体何人分の命がこの袋に詰まっているのか。


「手段は問いません。結果を見せて下さいな」


 他の三人も、これは異常事態だと

はっきりとわかる。

 

 白雪はソフィアと二人だけで暫く話した後、

本当に帰って来なくなった。


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