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SOS .023 疑念

 シルビアは急いで下山する。

急勾配も、神鉄如意で術式を操って下り、

目的地であるミラに着いたときには

まだ日が暮れる前だった。


 その頃には神鉄如意に込められた神導力も空になり、

補充が必要になっていた。


 手順としてはミラの冒険者ギルド支部に

経過報告をするべきだが、

シルビアは神導力の補充をするため、

先に繁華街へと向かう。


 法整備により、昔より随分ましになったという

声掛けや呼び込みを捌きながら、

シルビアは細工師の工房を訪れた。


「あれ? セイレンさん。

どうしたんです? こんな時期に」


 顔見知りの見習い工が

シルビアに声を掛けてくる。


「付近の山あいで野生動物の

監視業務がありまして」


「へえ、ご巡幸前に

色々大変ですね」


 特に詮索されるでもなく、

見習い工の青年は年嵩の工房主を

呼びに行った。


 シルビアがここの工房主と懇意に

出来るようになったのは、

冒険者ギルドの正職員であることと

無関係ではない。


 故にシルビアは冒険者ギルドでの立ち振る舞いを

考え続けてしまうのだった。


 しばらくして、工房主のトマソンが現れる。

ゴツい見た目と手に似合わず、

繊細な作業がとても上手い。


「久しいな、嬢ちゃん。

何かあったか?」


「いえ…特には」


 薄々バレていると思ったが、

シルビアはシラを切った。


 トマソンはそれを見て何も言わず、

得物を渡せと手を招く。


 素直に渡すシルビアに、

トマソンは代替品を寄越す。

 オリジナルよりやや精度と感触で劣るが

トマソンの試行錯誤によりかなり

使い勝手は良くなっている。


「修繕と補充だな。

ギルド付けにしといてやるから、

支払いはそっちでな。

ついでにちょっと遊んでこい。

たまにはミラ(ここ)にも金を落とせよ」


 トマソンはそれだけ言うと、

さっさと自室の工房に引っ込んでしまう。


「あ、俺が案内しま「おい、ティーチ!手伝え!」


 せっかくの機会を潰され、

見習い工のティーチはがっくりと肩を落とす。


 シルビアは苦笑しながら、

修繕と補充が終わるまで少し店を出ることにした。


 ミラの繁華街は活気がある。

カルマリとは違う、生々しい活気だ。


 嫌いという程では無いが、

シルビアにとっては馴染みが無く、

店を冷やかすにも気を使いそうだった。


 その時、ふと気になる人影を見つける。


 一瞬だが、それは戦術ギルドの出向役人

であるフランドル・リヒテンシュタインだと思った。


 一般人の格好をしていたが、

特徴のある身のこなしは見間違えようがない。


 シルビアの脳裏に疑念が過ぎる。


 しかし、判断する材料が少なく、

それ以上の考察が出来ない。


 迷った挙げ句

フランドルの後をつける事にした。


 すぐさま帽子を取り出し、

目立つ銀髪をしまい込む。


 ソアラがここに居なかったのは都合が良かった。

尾行なんて地味な作業に敵性はあるばずもなく、

もし彼女が居たら追跡どころでは無かったはずだ。


 得物を服にしまい込み、シルビアは狩りの準備を始めた。






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