SOS 229 シュリとシュラ2
ほどほどの時間で、
シュリとシュラは店を後にする。
明日も別の店の仕込みから手伝う予定なので、
それほど馬鹿みたいに吞んだり、
朝まで騒いだりすることは無い。
店に顔を出すようになって最初の頃は、
いわゆるそういう面倒な客も何人か
いたが、いまではシュリとシュラの怖さが
周知されているので変な輩は来なくなった。
しかし、だからと言って全く居なくなる訳ではない。
「よお。お二人さん。
俺達のこと覚えているか?」
「忘れたとは言わさねえぞ」
人気が丁度なくなった辺りで、
シュリとシュラは二人組の男に
声を掛けられる。
その言葉には悪意と害意が混じっている。
「「忘れた」」
けれど、シュリとシュラは気にするでもなく、
あっさりと相手の尾を踏む。
「……このっ!」
「調子に乗りやがって!」
もちろん忘れたのは嘘だ。
この二人組はあの界隈から締め出された
流れの連中の一組だった。
暗黙の了解を破り、二人に害を加えようとした
前科を持っている。
怒りのまま、男たちは武器を抜く。
よくある刀剣類で、中位の武器だ。
「泣いても許さねえからな!」
「××××ってやるぜ!」
耳に触る単語を発しながら、その凶刃が
二人を襲う。
「「はあ」」
シュリとシュラは溜め息混じりに、
自分達の得物を抜く。
掌に収まる大きさの円刃がそれだ。
「そんな木っ端で俺の剣が止まるかよっ!」
「ぶった切ってやる!」
二人組の男は、性根の割に息の合った動きで
シュリとシュラに切りかかる。
「別に真正面から止めるわけじゃないし」
「力なんて意味ねーから」
独特の動きで円刃を相手の剣側面に這わせ、
そのまま円刃を振り切る。
受け流しとも言えるが、その動きはなめらかであり
それでいて読みづらい軌道を描いていた。
「ぐっ!」
「なにっ!」
武器を持つ利き手を同時に切られ、
二人の男は得物を落とす。
シュリとシュラの動きはまさに線対称であり
鏡を見ているような錯覚に陥る。
「ま、殺しはしねーけど」
「あたしらってやさしーからね」
そんな二人の視界の外から、
悪意の視線が注がれた




