SOS 222 ベル1
「こらー! お前らさっさとついてこいー!」
「うはー! ベル姉ちゃんが怒ったー!」
「やっべー!」
「きゃははは!」
ベルが怒った振りをしながら、
子供達を誘導していく。
彼等はカルマリのメルタ地区孤児院に属する
孤児達だった。
方々を好き勝手に動く子供達だが、
ベルの超感覚であれば、多少離れていても
場所の特定は容易であった。
「ねー! ベルねー!
プギットがいないー!」
一番年下のルカが、最年長の男の子が
行方不明になっている事実を告げた。
「あー、はいはい。またそれなー。
とりあえず、戻ったら速攻で捕まえてくるわー」
「今日はどれぐらいかなー」
「ベル姉ちゃんなら直ぐだぜ!」
プギットが帰り道で消えるのは毎度の事だ。
いつもこのかくれんぼをしている。
ベルはちょっと面倒だと思うことも
あったが、まあ目くじらを
立てるほどでもなかった。
「おしっ! 全員いるなー。
んじゃ、おやつまでには連れて帰るから、
手洗いとうがい、忘れるなよー。
うそついたら、おやつ抜きなー」
「「「はーい」」」
ベルの場合、本気でおやつを
独り占めしてしまうので、
子供達もここは素直だ。
ベルはいつもの調子で孤児院を後にする。
しかし、その目はやや焦り気味だ。
「……ったく、プギットの野郎。
あそこは行くなって言ったのによ」
ベルはプギットの現在位置を完璧に捉えていた。
歓楽街から程近い、そういう地区に
入り込んでいる。
「(あいつは、孤児になって
日が浅いからなー……)」
ベルは跳躍すると、音もたてずに
家々の屋根を駆ける。
真っ直ぐ最短で現場に向かうつもりだ。
「(……ちっ、案の定
絡まれてんじゃねーか。
面倒くせえな、おい)」
ベルは速度を上げる。
影すら踏ませない速度だ。




