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SOS 221 観測

『……と、言うわけで、

ゼン君御一行は順調に仲間を

増やしながら王都に向かっていますね。

転移でちょくちょく戻っている辺り、

普通の旅行者からすれば羨ましい

限りでしょうね』


 サイエンが説明する。身体は疑似体であり

姿はそのまんま小猿を模している。


「……予定通りですね。

問題はここからどう変化するか……」


『若様の見立てでは、どうなんですか?』


 若様と呼ばれた男は、衝立の向こうで

寝そべっているらしい。

 声は若いが、纏う雰囲気はまるで老人だった。


「……元々、シルビアさんとソアラさん。

後はヒナギクさんと一緒に行動する筈でした。

そこに白雪、マリンが入った事で

武力構成に劇的な変化が起こっています。

遠からず、地下組織との軋轢が生じるでしょう。

と、なれば。問題はゼン君の立場を

どこに持ってくるかですね」


『……表か裏か、

どっちを選ぶのかってことですか?』


「ええ。国として大きくなるのか、

それとも組織として大きくなるのか」


『とはいえ、領土はどうするんです?』


 いくら有象無象を集めようが、

場所が無くてはどうにもならない。

 国家を作るにあたって必要なものは

環境と生物だとサイエンは考えていた。


「普通は、二択でしょうね」


『二択?』


「一つは他の場所を奪うこと。

そしてもう一つは、

新しく場所を作ること」


『……簡単に言いますけど、

どちらも難しいですよ?

どこからか奪えば争いになるでしょうし、

新しく土地なんて、それこそ

荒廃してるか不毛な場所か、

はたまた危険な指定地域ぐらいでしょう?

万が一、開拓に成功しても、

そんな土地それこそ次の争いの火種に

なるだけですよ?』


 サイエンがとても正しい指摘をした。

若様と話しているサイエンは

とても理性的で、公正な視点で

問題点を語っている。


「ええ。ですから、恐らくゼン君の選択するのは

第三の手でしょう」


『第三の手?』


「……このまま行けば、ゼン君の行動、

いや、そもそもの存在自体が、大きな争いの

種になるでしょう。

彼を利用する者、避ける者、

害する者、そして崇める者。

一体、どの勢力が彼を取り込むの

でしょうかね……」


『若様……?』


「……申し訳ない……少し、眠ります」


 それから若様はサイエンに

「観測を続けて下さい」

とだけ言って、本当に眠った。


『若様……』


 その部屋で、小猿は一人

静かに佇んでいる。


 その呼びかけに答える者は

いなかった。

 

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