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SOS 223 ベル2

「お前、……孤児院の奴だろ。見たことある……」

「だ、だったら何だって言うんだよ!」

「羨ましいねー……屋根付きの

教会なんてさー……」

「あんなもんのどこがっ……!」

「……? お前、孤児成り立て?

……あれで死んだ?」


 プギットは、ギリッと奥歯を噛む。

確かに、あの事件でプギットは天涯孤独の

身となった。


「うるさい! 俺は、ローシャル家の

長男だったんだ!

跡取りだ! 生まれも育ちも違う!

あんなとこで暮らすような

男じゃないんだぞ!」


 この子達は、路児と言われる、道端で

暮らす子供達だ。

 この子達が孤児とならないのにはワケがある。

 それは、この国の戸籍に入っているか

どうかという問題があるからだった。

 プギットはもちろん戸籍持ちだが、

彼ら彼女らはそうではない。


「……何だ、そっちの奴かよ。やっぱ……」

 その子供達の目に

仄暗い憎しみの火が灯った。

 服ではないボロ切れを纏い、

皮膚には斑点のようなまだらな痣がいくつもある。


 つい最近まで、いい暮らしをしていた

プギットは思わず叫ぶ。


「き、汚い手で触るなよ!」


 その言葉に、歯が欠けてボロボロになった

少年が憤る。


「誰のせいだとおもってんだよっ!」


 少年はプギットにつかみかかる。


「全部お前らのせいだよっ!

リサが死んだのも、全部っ!

お前らのせいじゃないかよっ!」


 細く弱々しい腕で、目一杯の力を込める。

プギットはその怒気に恐れ、ひっ、と

声を引っ込めた。


「まあまあ、少年。

許してやってくれ。

そいつは孤児に成り立てだ。

分からないことが、一杯あんだよ」


 どこからか声がしたかと思えば、

少年の背後にベルが立っていた。


 綺麗に洗濯された女性給仕用の仕立て服を

身にまとい、堂々とした立ち姿で現れた。


「べ、ベル……!」

「ベル姉様と呼べっつの。

さっさと帰るからな、プー」


 路児の少年はその圧力に驚き、

地面に尻餅をつく。


「……はあ、って言いたいとこだけど。

……何か用?」


 ベルはどこかに向かって話し掛ける。


「……気付いてたか?

やるなあ、白虎の女」


「……今のあたしはベルだよ。

名前で呼べ、名前で。

つーか、お前は?」


「名乗る程の者じゃないよ」


「んじゃ消えろ。

そこ通って帰るんだからよ」


「はは、通れるものなら、

通ってみろ」


 獅子族の男が笑う。身形は汚いが、

その体つきと体幹の独特さは、

戦士特有の空気を纏っている。


「……なに?

ご主人目当て?

今は留守だぜ?」


「いや、目的はお前だよ。

裏切り者」


 獅子族の男は地面を蹴り、

ベルに襲いかかった。




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