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SOS 213 大破

 馬車は後部座席に致命的な傷を負ったものの

なんとか原形を保つことが出来た。


 また、白雪が超絶技巧で貴重品やら何やらを

咄嗟に守ってくれたおかげもあり、

被害は最小限に食い止められた。


 なお、通常の馬車に必要な御者については

白雪が自分の能力で不要だと言い張り、

御者不在のまま馬を走らせていた。


 ゼンの《融合化》であれば、大破した後部座席も

修復することは可能だが、あまり公にすることの

憚られる能力でもあるので、修繕は手で行うことになった。


 とはいえ、とりあえずの保全をすることが限界で

馬車はそのまま街道を走ることになる。


「もう、シルビアちゃん。

あんなに怒らなくてもいいのに……」

「そうですよ。ご主人様はまだ

この世界で日が浅いのですから

そんな細工師の慣習など分かるはずがありません」

「うっさいわね! ほっといてよ!」


 ふて腐れて不機嫌にむくれているシルビアに、

ソアラと白雪は各々で話かける。


「でも、あの指輪は本当に凄いです」


 マリンがゼンを褒める。

ンは再び照れくさそうな表情を作り、頭を掻いた。


「確かに。あの程度の起動であの威力。

普通には売っていない代物です。

……あまり大々的には見せないほうが

いいかと思います」


 白雪はやや真面目な声色でゼンに忠告する。


「う、うん。大丈夫。

みんなの分しか作ってないから」

「みんな……ってことは、

私もあるの?」

「はい、ソアラさんにも。これです」

「えー! ほんとー! ありがとー!」


 屈託のない笑顔でそれを受け取ろうとした矢先、

馬車が急激に速度を落とす。


 グラララララ、と車輪の軋む音が

その事態を如実に表している。

 車輪の軸が傷んだような、そんな音だ。


「うわっ! なになになになに!?」

「これは…………」


 停止した馬車から、外に出ると、

その道に全員が違和感を感じた。

 一見して普通の街道に見えるが、

どうも妙だった。


「ねえ、これって……」

「はい、招かれざる客人のようです」


 シルビアの言葉に、白雪が端的な答えを出す。


「……おやおやぁ、若いのに

やけに場慣れした方々だねぇ。

先日差し向けた刺客が消えたのも、

納得かねぇ」


 地面と木々の間から、薄気味悪い声が聞こえてくる。

そう思った時、視界の端がぐらりと歪み

小柄で猫背の男が現れた。


「珍しい、避役族です」

「それって……」

「分かりやすく言えば、変色蜥蜴ですか」


「……カチンとくるねぇ。その言い方。

まるで自分が上等な生き物のような言い草じゃないかぃ」


 顔の見えない帽子を被り、

その男はくっくっく、と喉を詰めたような笑い声を出す。


「蜘蛛なんぞ、我らの餌でしかないよ。

そっちの魚娘もな」


 マリンがきゅっ、と口を結ぶ。


「それで、ご用件は?」

「ちと、身柄を預からせてくれよぃ。

まあ、悪いようにはしないよぃ」

「嘘が下手ですね。さっさと―――」


「かかれっ! お前ら!」


 違和感のあった地面から、

十を越える数の避役族が飛び出してきた。

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