SOS 208 地下
「えっと……隠し部屋ってこと?」
「いや、部屋ってもんじゃない。
まるまる別の建物……というか
人工の大洞穴みたいなの作ってる」
シルビアの指摘で調べたその壁は、
地下に繋がる通路だった。
しかし、通路というには
いささか特殊な形態をしていた。
「あー、なるほど。
この小さな部屋が丸ごと動くんだ。
上に滑車でも付いてんじゃない?」
ピースが所感を口にした。
縦に長く延びているらしく、
目の前にある極小の小部屋が
上下して昇降するらしい。
「見たことがない機構ですね。
ゼンの国の技術でしょうか」
「へー、凄いね」
シルビアとソアラが感想を声に出す。
しかし、ともかく。
「降りてみましょうか。
……ちょっと嫌な予感もありますが」
「おー。本当に凄い。
こんなでかい部屋が地下にあんの?
王宮でも此処まで凄くないっすよ!!」
素で驚くピースと二人。
特に二人に関しては唖然としている。
「ん? 何か愉しげな空気を感じる!!!!
あっちだ!」
ピースが何かに気付き駆け出す。
仕事より張り切っているのはどういうことか。
カポーン。という音が
どこからともなく聞こえてくる
不思議な空間が出来ていた。
いや、浴室というのはかろうじて
理解出来るが、問題はその規模だった。
「ナニコレ?」
「どういうこと?」
「ほえー……」
全てお湯だ。凄い大きさだ。
「………あれって、ゼン君?」
別室の浴槽がある部屋から
騒がしい声が聞こえてくる。
「ゼン様! 次こんなの作って下さいっす!」
「黙れ馬鹿トラ! ぜひ私と一緒に入りましょうよ!」
「ご主人様。お背中流しますよ!」
「じゃあ、あたし前で!」
「……わ、わたしも」
群がる五人と静観する白雪。無我の境地にいるゼンという
非常に非日常な混沌が繰り広げられていた。
「ソアラ……」
「え?」
「特注のハサミ。持ってきて」
シルビアの目が猛禽類のそれになっていた。
「いや、まってシルビアちゃん! これはただ事じゃない!」
ピースが真剣な表情で待ったをかける。
「見てみな! あの状況であいつ全然×××が勃ってない!
男としてありえないぜ!」
「ピース先輩? ハサミは二本、ありますよ」




