SOS 200 初対面
「聞いた? 遂に噂のご主人様に会えるって」
「ああ、……それって暗殺対象者の?」
「コラ! そういうこと言うなって!
また鬼雪に絞られるって!」
「いやでも、……事実は事実でしょ?」
「つーか、あたしら対象者に接触する前に
捕まってるって、かなり微妙じゃない?」
「それ言わないでよ。萎える……」
「つーか、うちらって夜伽系の奴居ないよね?
何で? 普通若い男相手なら使うでしょ?」
「いやー……それ多分、
事前に鬼雪に消されてんじゃない?」
「あー……ぽいぽい。そういうことしそう」
五者五様の価値観で暗殺者達は会話をする。
何のかんのあったが、同じ境遇で思うところも
似通っていた部分があり、
意外な速度で彼女達は仲良くなっていた。
「コホン」
とてもわざとらしい咳払いが
休憩室に響く。
瞬間的に、ピシリと部屋の空気が固まった。
ギギギギと全員が上を見ると、
鬼雪さんが全員を見下ろしていた。
「お……白雪…様」
「全く、学習能力が足りませんね」
ふう、と息を吐きながら、
白雪がふわりと音もなく床に降りてくる。
「「「「(気配がしない……)」」」」
全員顔面蒼白になるが、
白雪は小言を言うだけで済ます。
「まあ、今日はいいでしょう。
今からご主人様である『ゼン様』に
お目通し頂きます。
床や服を汚しては、手間ですし
失礼ですからね」
何で、とは言わない。
その白雪の穏やかさが、全員恐ろしかった。
「さて、参りましょうか?
ご主人様がお待ちです」
その言葉通り、今まで侵入する事も許されなかった
二階より上に案内される。
「ご主人様、失礼致します」
「は、はい、どうぞ」
扉の向こうから、年若い男の声が聞こえた。
全員が息を呑む。軽口は叩いたものの
自分の生殺与奪を握る当事者だ。
気分を害さない保証はどこにもない。
ガチャリ、と扉が開く。
そこには、珍しい黒髪黒眼で柔和な
顔をした少年が、座っていた。
顔は緊張しており、頑張って無表情を
作っている感じだった。
「(……あれ? そこまで強そうじゃない?)」
「(普通てゆーか、大人しそうな……」
「(むしろ、かわいいかも)」
「(全然行けるわ。全然あり)」
「(…………)」
一部、邪な思いを孕む
存在がいたが、概ね拍子抜けという表情。
「それではゼン様」
「あ、はい、そのー……スミマセン」
「?」
「《融和》」
「「「「「!」」」」」
五人の意識が次元を超えた瞬間だった。




