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198/253

SOS 198 技能

 白雪が来てから、ゼンの生活は劇的に変わった。

まず、白雪と完全融合化したことで、

主要三国の言葉はもちろん、地方言語も

そのほとんどを習得してしまった。


 また、ゼン自身、自分の融合化能力で

どういうことが出来るのか

あまりわかっていなかった部分も

白雪が理解することで、その幅を広げた。


 そして結果的に手狭になった住まいは

劇的増改築がなされ、

地下四階、地上三階の建物へと変貌を遂げる。


 白雪は家を含め、その周囲の

かなり広範囲に渡り警戒網を敷き

他の刺客連中を事前察知する事で

そのほとんどを

闇に屠った。


 ただ、本人曰わく「使えそう」な

刺客は敢えて生かして手元に置くことを

決めたらしい。


 ゼンはまだ一人しか知らないが、

白雪にいつの間にか部下が増えていた。

 全員が年頃の女の子らしく、

それはゼンの気分を害さないように

配慮した結果らしい。


 男性の刺客はいろんな意味で

ご愁傷様な結果となったわけだ。


「ゼン様。出発のご準備が整いました」

「あ、ありがとうございます」

「シルビアお嬢様。ソアラお嬢様。

お気をつけていってらっしゃいませ」

「……いってきます」

「いってくるねー、白雪ちゃん」


 白雪の提案で、シルビアとソアラは家庭内では

ゼンの同僚という形で扱う事になった。

 職場では監視対象、公には使用人、家では同僚という

よくわからない構図となったが、

シルビアとソアラはそれを飲み込んだ。


 白雪(およびその一味)が家事などを

一手に担い、またそれ以外でも、

各々の特性に合わせて仕事を

取ってくるようになった。


 シルビアとソアラが冒険者ギルド職員である

という強みを生かして、白雪が他のギルドで

困っている仕事を率先して取ってくる。


 今のゼンが通っている、装飾ギルドの

仕事もその一つだ。

 ゼンの融合化能力はバレると

危険な代物だが、その一部分を

活用するのであれば

危険はさほど無い。


 そう判断した白雪が、ゼンと相談して決めたのが

装飾ギルドでされている動力接続の仕事だった。

 魔石や神石と呼ばれる力を溜めた石

(単純に赤石、青石などと呼ばれることもある)

を、神導具に接続させる技術だが、

長年の経験者でも8割、新人なら半分以上は

接続に失敗してしまうことが普通で、

なかなかに難しい技術を

要求されるのだ。


 しかし、ゼンは融合化の能力を使う事で

100パーセント成功させる事が出来た。

 元々受けていた仕事の出来も、真面目で丁寧なことも

評価され、ゼンは直ぐに装飾ギルド直営の

細工工房に入る運びとなった。


 新人ながら、その技術と成果は突出しており

工房内でも結構な高級取りとなる。


 その事実を聞いて、ソアラは喜び

シルビアは複雑そうな顔で賛辞を送った。


 白雪の登場で確固たる地盤を築きつつある

ゼン一家に、召還状が届いたのは

そんな中での出来事だった。


 それは王家から直々の召還状で、

無視するわけには行かない代物だ。

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