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SOS 197 寵愛

「……そろそろ、休憩時間ですか。

皆さん、休憩に入って下さいな」


 白雪の言葉を受け、他の面々はキョドキョド

しながらも、言われた通りに休憩室へと向かう。


 元々まともな生活や人間関係を

構築していなかった彼女達は、

お互い無言のまま休憩室へと吸い込まれていく。


「……返事の作法から仕込まなければいけないとは、

嘆かわしいことですね」


 白雪は嘆息しながらも、満足気に彼女達を

見送った。

 ()()()()がタダで

手には入ったのだから、当然だろう。




 白雪が立ち去ったのを確認した連中は

休憩室にある大きな食卓と椅子を前に

お互い無言で睨み合いながら牽制している。


 しかし、その状態に痺れを切らしたのか、

その内の一人、獣耳をピクピクさせた獣人族の

少女が口を開いた。


「……あー、とりあえず、座る?」

「「「「…………」」」」


 他の四人も目配せしながら、

否定や反論をする理由も無いので、

誰とはなしに食卓に座る。


 食卓には何も無いが、戸棚には

紅茶の茶葉とお茶請けが常備されていた。


 まるで普通の休憩室であった。


「……自己紹介、しとく?」

「……刺客同士で? 馬鹿じゃないの?」


 獣人族の少女に噛み付いたのは

地人族の少女だった。


「いや、服従させられている時点で

どっちもどっちでしょう?」

「……確かに、一回死んでるからねー」


 そう言うのは、光人族の少女二人で

双子の女の子達だ。


「………」

 無言のまま、周りを観察しているのは

海人族の少女である。

 今は人魚形態から通常人型に変位している。


「……つーか、あの蜘蛛女。

強過ぎじゃない?」

「何であんな奴がこんな普通の家に

常駐してんの?」


 双子の少女が息を合わせて毒を吐く。


「あれ、合成体ってやつでしょ?

ガーファングルの闇」

「んなもん、実際はどこの国も同じでしょ?

てゆーか、普通の合成体はあそこまで強くないわよ。

あいつが化け物なのよ」

「確かに、化け物……。

あたし腕力勝負で負けたの初めて」

「……同じ術式で負けた」

「そんなのまだマシじゃん。

うちらなんか二対一でボコられたし」

「しかも手加減されたし」


 一度出てしまうと、文句はとめどなく溢れた。

自己紹介もまだなのに、少女達は

お互いの不満をぶつけ合う。


 しばらくして、誰かが海人族の

少女に水を向けた。


「あんたも何か言えば?

どうせあの白雪とかいうのに

こまされたクチでしょう?」


「……違う。

私はあいつには勝った」


「「「「……え?」」」」


「うそ、どうやって?」

「マジでか? つーか、あんたそんなに強いの?」

「ん? いやちょっとまって。

ならどうしてここに居るのよ?」

「……話が合わない」


 海人族の少女は、唇を噛んだ。


「……水辺だったから、あの蜘蛛女には勝てた。

でも……あいつがご主人様とか呼んでる男に

負けた。……あの男、あの蜘蛛女よりずっと強い。

だから、ここに居る」


 その話を聞いて、面々は青ざめた。

あの蜘蛛女さえどうにかすればいいと

思っていた安易な考えが霧散する。


「……その男って、今回の対象者よね?

どんな奴なの?

その……奴隷商人みたいな……?」


 海人族の少女が首を振る。


「若い、男。妙に善人っぽい、奇妙な奴」


 警戒心を露わに、そう評価した。


「……おー、じゃあ、上手く行けば取り入ることも

出来るってこと?」

「ジジイじゃなきゃ、ありだな」

「そっち系なら、あたし得意な方面だし」

「あたしが寵愛を受ければ、

立場逆転もいけるな。

つーか、あの蜘蛛女そういうの苦手っぽいし」

「……愚かな、まあ、好みの男なら

抱いてあげないこともないですが」

「その大平原でよく言うな、おい」

「何ですって!」

「おいおい、あんまり騒ぐなよー、めんどっちい」


 強さだけなら折り紙付きの面々が

ゼンの仲間となった。

 もちろん、後で盗み聞きしていた白雪に

ボコボコにされるのだが、それはまた別の話だった。

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