SOS 196 証明
渦中のウルメリア・ルヴァン・ディッセルハイムは
ある意味中心的な人物であったものの
蚊帳の外といってもおかしくない状況にあった。
彼は次期国王候補だが、未成年の為に
後見人が必要だったからだ。
後見人を自認する前宰相マックスと
それに反発する一団で会議は紛糾していたのだ。
しかし、会議は概ね既定路線に乗っており
他の貴族家の連中は、そのまま滞り無く
終わらせたいというのが本音だった。
四聖貴族家での持ち回り
(三貴族家による継承選挙を経て)
により、いずれ自家の機会が訪れる訳で
この場で揉めるほどの要件では無かったのだ。
しかし、今回の先王が逝去した問題の
責任を追及したいエルダナリヤ家の長と
その取り巻き分家連中は
鬼の首を取ったかのように息を巻いた。
「やはり、強硬な日程変更が
賊に付け入る隙を与えたのではないか?
発案が先王とは言え、それを押し留める
立場にあったのはマックス殿であろう?」
エルダナリヤの長が、マックスに詰め寄る。
「……何が仰りたいのですかな?」
「言葉通りよ。
責任の一つも取らずに、何が宰相か?
それに――」
彼はニヤリと笑い、言葉を加えた。
「――先王の火遊びの種が
出てきたということを耳に挟みましたよ?
公序良俗の知見から申し上げれば、
些か問題のある行為では無いですかな?」
人の口に戸は立てられない。
マックスは予想はしていたものの
残念な気持ちになる。
誰も、我が事しか見えていない。
「……ただの噂でしょう?
その本人がそう証言して証拠がある
というならともかく、論ずる時間も
勿体ない事ですよ」
マックスは平然と受け流す。
まだ公にするには時期尚早だった。
エルダナリヤは食い下がるが、マックスの
読み通り、証拠までが存在しない。
分はマックスにあった。
しかし思わぬ方向から支援の矢が飛んできた。
「……それなら一度、
調べてみては如何でしょうか」
それはディッセルハイムだった。
「……は?」
「……何を、ですかな?」
エルダナリヤとマックスが聞き直した。
「親子鑑定というものですよ。
知人で、そういう類の術式研究を
行っているモノがおります。
……調べれば、証明も容易ではないかと」
会議は思わぬ方向へと転がって行く。




