表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/253

SOS 174 二人

 シルビア、ソアラ、サティの三人は医務室にいた。

途中からの記憶は曖昧でぼんやりとしている。


 体に別状が無いとわかると

すぐに放置されてしまい、

誰一人見舞いどころか看病にも来ない。


「結局、事の顛末は分からないどころか

知らされることも無いようですね」


 サティは嘆息しながらも

別段思うところは無いらしく

寝台に横たわっている。


「そうですね」

「ですね」


 シルビアとソアラも同様に寝ていた。

ただ、二人とも思うところがあるらしく

神妙な表情をしている。


 そこに、コンコンと扉を叩く音が

舞い込んできた。


「あ、はい。どうぞ」


 やっと治癒術士が来たのかと思い、

サティは反射的な返事をする。


「ふん。別状は無いそうですね。

安心しました」


 グレースだった。


「え? あ、サブマスター?

し、失礼しました」


 サティが身形を整え、起きあがろうとする。

シルビアとソアラも慌ててそれに倣う。


「ああ、いいからいいから。

寝てなさい」


 手を振り、そのままでいいと促すグレース。

迷うものの、三人は言われた通りに

再び横になる。


「言伝を持ってきただけよ。

あと差し入れ」


 手にはカゴがあり、甘い匂いが漂ってくる。


「あ、ありがとうございます。

恐縮です。えっと、それで

……言伝とは?」

「ごめんなさいね。

そこの二人に用があるみたいなのよ」


 二人とはシルビアとソアラだった。

二人は互いに顔を見合う。


「退院してからで大丈夫だから、

ギルドマスターの執務室に行って下さい。

必ず二人、一緒にね」


「え、はい。……わかりました」

「は、はい……」


「じゃあね、こんな時ぐらい

ゆっくり休みなさいよ」


 それだけ言うとグレースは部屋をあとにした。

 何が何だか分からない二人は

思わず先輩であるサティを見る。


「……二人一緒にということは、

何かしらの報奨金でもあるんでしょうか?」


「え!」

「ホントですか!」


 二人は俄かに色めき立つ。

自覚は全くないが、何かしらの

功績でも立てたのだろうか。


 サティがそこでニヤリと笑う。


「……もしくは懲罰の言い渡しですかね?」


「「…………」」


 それについては思い当たるところがあるらしく、

二人は冷や汗をかく。

 その様子を見ながら、サティはクスクスと

笑い出し「大丈夫、冗談、冗談よ」

と、無駄な励ましの言葉をかけるのだった。




 翌々日、シルビアとソアラは

二人一緒にギルドマスターであるベントリの

執務室に向かった。


「どうぞ、お待ちしておりました」

「「失礼します」」

 

 定型文的なやり取りと、近況の報告をした後で、

ベントリは神妙な面持ちになる。

 二人はついに来たかと、息を呑む。


「……時にお二人は、

将来を約束した方などいらっしゃいますか?」


「「…………はい?」」


「お付き合いしている方は?」


「「…………??」」


 二人の表情を察し、

ベントリは苦笑混じりに告げる。


「これからゼンくんと一緒に、

暮らして貰えますかね?

もちろん手当ては付きますよ」


 ベントリの提案は斜め上のものだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ