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SOS 168 不貞

「一応終わったみたいだな。

もう少しサイエンの奴に聞きたいことが

あったが、まあ仕方無いか」


 大体本当の事を話しているのかどうかすら

怪しい奴だった。

 話半分を聞いていれば良いだろう。


 オズマットは完全に元通りの体を

確認しながら、周囲を見回す。


 ベントリ、グレースは無事。

 リオンも問題ない。

治癒術士は夢の中だが、宰相マックスは

意識を取り戻していた。


……カイケンの奴は、

いつの間にか消えていたが

まああれもサイエンと同類なので

気にしないことにする。


 マックスは年の割には意外と頑健な

鍛え方をしているらしい。


「さっきのは夢か……?

それとも……」

 そして驚いたことに、先ほどの術式内で

意識があったらしい。


「夢ではありません。全て事実です」

 代表してリオンが答える。


「陛下がなされたのか……?」

「……えっと……」


 リオンが答えに詰まり、オズマットを見る。

庇護欲がそそられた訳ではないが、

オズマットは助け船を出す。


「いえ、そうではありません。

先ほどの術式は、《洞穴》で保護された

異国貴族の末裔という若者が

構築させたものでしょう」


 嘘は言っていない。

オズマットはマックスの反応を見る。


「……異国貴族?

そんなはずは無い。

あれは、あれこそは、

正にウルメリア王家が持つ《宝剣》の力だ。

王族にしか扱えない、貴き力」


「(……やっべえな、おい…)」

 オズマットが顔には出さず、

焦りの感情を飲み込む。


 ベントリも同じだったらしく、

にわかに動きが固まる。


 しかし、マックスの発言を

ここで否定するのはもちろん、

肯定することも危険であった。

 少し考える振りをしたベントリは

マックスに恐る恐る尋ねる。


「それは一体、どういう事なのでしょうか?」


 その発言にマックスはふんと息を吐く。

「わからないのか? ギルドマスター殿。

つまり、その若者は王族の血を

ひいているということだ」


 ベントリとオズマット、そして

グレース、リオンも押し黙る。

「……(そっちか)」

ベントリとオズマットは方針を練る。


 マックスの性格を考えれば、

それは順当な結論だった。

 そして、否定的な材料を提示するのは

非常に困難な内容であった。


 となれば、先代の王には

ありもしない浮気の汚名を

被ってもらい、ゼンが彼の隠し子である

という流れにするのが最適だと思われた。


「(あの坊主……苦労しそうだな)」


 オズマットが天井を見上げる。


「もし、それが事実であれば、

どうなりますか?」


 ベントリが聞く。


「……監視下に置くことにはなる。

だが、継承権は持てない。

そういう扱いだ」


 マックスは眉間に皺を寄せて言う。

それは王の不貞を嘆くものか、

それとも別の何かか。


 それは誰にもわからなかった。


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