SOS 165 融合 その2
「……ここは?」
『まったく、とんでもないことをしてくれたな』
『ホント最悪ー』
「えっと……ディーさんとフィーさん?」
『……もう面倒だな。それでいい。
しかし、この術はいただけないぞ?
我等を取り込むとはいい度胸だな』
『そうだそうだー』
「取り込む……?」
『自覚無しか……? やれやれ、
お前がこの一帯全てを取り込んで
一つに纏め上げたのよ』
「?」
『お兄様! コイツ分かって無い!』
『……無知とは恐ろしいな。
もういい、先ずはこの術を解除しろ。
落ち着いて紐解けば出来るはずだ』
《それで出来れば苦労は無いですよ》
『! 誰だ!?』
《詳しい説明はまたいずれ。
一応始めましてだね、ゼンくん》
「あ、あなた、は……?」
《サイエン、カイケン、キチョウの雇い主です。
一応『若様』とか呼ばれていますね》
「えっと……?」
《時間が無いので端的に。
まずはおめでとう。
やっと融合化をそこまで扱えるように
なりましたね》
『(……こ奴、存在の概要すら掴めん。
闇蟲よりも厄介だぞ)』
『(あたし達より強い?)』
『(強いかどうかすらわからん。
つまり、それほどに強いということだ)』
『(……うん? どういうこと?)』
《これから、君は色々な選択をするでしょう。
それには、後悔も付きまとう。
しかし、君にはその後悔すら塗り替える
力があります。
今のその力を
全て扱えるようになれば、ですが》
「それはどういう……?」
《いずれわかります。
常識に囚われず、
自分の欲に忠実に生きれば、
きっと私の言った意味もわかる
時がくるでしょう。
その時に、また会いましょうか》
「ちょ、ちょっと待って下さい!
何が何だか、一体、僕は何なんですか?
僕に何を求めているんですか?」
《それもいずれわかります。が、
そうですね、それではヒントを一つ》
「ヒ、ヒント?」
《私もサイエンもカイケンも、
そしてキチョウも、
ある理由であなたのことを
知っています。
あなたの出自も、今の能力も》
「……その理由は、教えてくれないんですか?」
《あくまでもヒントですからね。
そして、我々は各々の目的が異なります。
故に、場合によっては敵対する事に
なったりするのですよ》
「え?」
《ですが、あなたという手段は
唯一無二なのです。
あなたを使って、目的を叶えたい。
それが我等の共通認識なのです。
しかし……あなたは今から
大きな力に取り込まれていく。
国という大きな力にね》
「国?」
《これほどの術式を行使する使い手が、
放っておかれるわけがないでしょう?
この一件が落ち着けば、あなたは
大きな渦に巻き込まれて行きます。
我々は、そこに楔を刺しに来たのです》
「く、くさび?」
《もう一度言いましょう。
自分の欲望に素直に生きることです。
それだけが、あなたに取って
迷うことのない指針となるはずです》
「? そ、それで、その、あなたは
目的をかなえられるんですか?
僕が欲望に、忠実に生きれば?」
《ええ、その通りです。
では、ごきげんよう。また逢う日まで。
そうそう、これはサービスです》
「え?」
世界が急速に元の姿を取り戻し始めた。




