SOS 164 融合 その1
ゼンの構築した術式はカルマリ領域の
全てを飲み込み《融合化》させた。
《融合化》により、敵意も善意もないまぜとなり、
敵も味方も無くなった。
「これは……とんでもない術式だな…」
「あれ、オズさん?」
「ヒナギクか」
「コレって、どういう現象なんでしょう…?」
「グレースか」
「私もいますよ」
「ギルドマスター、と言うことは…」
「わたくしもおりますが、何か」
「セイドウシサマー、生きておられましたかー」
「不満そうですね?」
「ソンナコトナイデスヨー」
「《宝剣》の術式が解けたと思ったら、
とんでもないものが出てきたな」
「コレは……」
「ゼンくんでしょう。
意識体のみを分離させて、
肉体を融合? させたのでしょうね」
「えっと……マジですか? ギルドマスター」
「大マジです。ヒナギクさん。
元に戻るかはゼンくん次第でしょう」
全員が間を置く。
「えっと、でも
敵はどうなったんでしょうか? 死んだ?」
『死んでないわよ』
「うわっ! びっくりした」
『あんたでもびっくりするのね』
「人を何だと思って……って、
あんた猿女?」
『サイエンと呼びなさい、サイエンと』
「あんたも捕まったの?」
『あんな術式、想定出来るわけないでしょ』
「……ん? というか災厄は?」
『意識ごとほぼ消滅したわよ。
なに? 別れの挨拶でもしたかった?』
「いや、全然」
『あっそ。
ちなみに、キチョウは離脱したから
ここにはいないわよ。
……ところで初対面の割に
息が合ってたわね、何で?』
「さあ? 何となく……?
でも、仲良くはなれなさそうだったけどね」
「そういえば、カイケンはどうしたんだ?」
『そこで死んだフリしてますよ』
『ちょっと人聞きの悪い!
空気読んでただけでしょ!』
『……と、ムキになって反論しなければ、
バレ無かったでしょうけどね』
『……あ』
『とまあ、それより、
あなたたちはどうしてそんな風に余裕何ですか?』
「ん? そう見えるか?」
『普通はもっと焦るでしょう?』
「明日死ぬと思って今日を生きる。
それが冒険者の鉄則だからな」
『……死ぬのが怖くないってこと?』
「死ぬのが怖くない訳じゃない。
死ぬまでが怖いってことだな。
これが死ぬってコトなら、なんつーか
やっぱり受け入れるしかないだろう」
『……冒険者ってオカシイ』
「あ、ちょっと待って!」
『は? 何か?』
「あんたじゃないです。
今つまり、あたしとオズさんは一つに
なっているって事ですよね?
もはやコレは婚前交渉ってやつですか?」
「いいや違うぞ」
「この際ですから聞いておきますが、
オズさんはヒナギクさんのことを
どう思っているのでしょう?」
「ナニイッテンノ?
グレースさんよ?」
「まあ死ぬかもしれないわけですし、
それぐらい良いんじゃないですか?」
「おいベン」
「はーい、聞きたい聞きたい!」
「ヒナギク落ち着け!
と言うかこの状況でやることは
他にあるだろう!」
「?」
「何で俺がオカシイみたいになってんだよ!」
それからしばらく経って、
やっとサイエンに対する尋問が始まった。




