表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/253

SOS 117 馬

 オズマットの予感は的中した。

外門に入るなり、戦術ギルド警備部の連中に拘束され、

面倒な尋問を受ける羽目になったからだ。


 ベントリ、リオン、オズマットや他の職員は

個別に呼び出され、防諜隔離された別室でいろいろと話すことになった。

 こういう尋問は、集団の中で思想の異なる者や、

所属の異なる者を洗い出すことが主な目的となるのだが、

今回は現国王への反乱分子を間引く目的であることが

とても明確だった。


 結局、判断不十分にて一般冒険者連中は足止めされることになり、

所属と思想が明確である面々は、そのままカルマリへと

通されることとなった。


 ベントリ、オズマット、ピース、そしてリオンとミオン。

五名は署名の上で、厳戒態勢が敷かれるカルマリへの入領を許可される。

 もっとも、他の連中も問題が解決すれば

今までのように通行できるとわかっていることもあり、

特に問題行動は起こしていない。


 しかし、これが本気の後継者争いに発展した場合、

この領都はただでは済まないだろう。

 そのとき、この冒険者たちがどこの組織に肩入れするかは

本人の意向となるため、オズマットにも判断がつかない。


「考えても仕方ないでしょう。

まずは、領内に戻りギルドの指揮系統と立て直します」

「だな、今はほぼ恐慌状態みたいなもんだろうしな」

「こんな時にギルマスの代理なんて考えたくもないすね」


 取り敢えず、この三名は現国王派閥ということで

公的な文書に署名もしている。

 事態がどう転ぶにせよ、少なからずあの新国王を守るために

命を懸けることを約束させられたわけだ。


「師匠、みなさん。

やはりみなさんはこちら側の方だったのですね」

 安心したような表情のリオンが合流する。

 背後に控えるミオンは全く表情を変えず、

ひっそりと付き従っている。

 ほんの少し前ピースに見せていた油断ならない雰囲気はどこにも見えない。


「リオン様。どうやら今の時点で通行を許可されたのは、

わたくしどもだけのようですね」

「ええ、ということはつまり」

「戦力の選別と強化が行われている」

 ベントリの言葉にリオンが反応し、オズマットが補足する。


「これは本格的に、代理戦争の可能性が出てきますね。

後継問題での戦闘など……戦前の話でしか知らないですが、

どうなることやら」

「相手は、王弟様でしょうか……?」

「まあ、でしょうね。よほどの大義名分がなければできませんが

まあ、あるんでしょうね」

 ベントリとオズマットの表情は険しい。

どう転んでも、誰も幸せにはならない展開しか

思い浮かばないからだ。


「同盟のニ国は、どうするでしょうか?」

「様子見しかない、けれど、結果によっては

手と口は挟んでくるでしょう。

ピノスはともかく、ガーファングルはそこそこ面倒でしょうね」

「あの国はいつでも臨戦態勢みたいな風潮だからな」


「皆さま、お手数をお掛けいたしました。

こちらに検査済みの馬を用意してございますので、

こちらにどうぞ」

 簡易的な検査室の薄い壁が叩かれ、

警備部の新人っぽい男が五人を呼んだ。

 なかなかの面子がそろっている事もあり、

やや緊張した面持ちをしている。


 そうしてそこで用意された馬は、なんというか、

ただの馬だった。


「これ、観光用の、あれ、馬ですよね?」

 珍しくピースが素の発言をする。

すでに現役を引退したような馬で、

とても穏やかな目をしている。


「はい、実はほとんどの現役馬が出払ってしまい、

通行後は徒歩でお帰りいただくことになっていたのですが、

リオン様、ベントリ様の為ということで、

ご用意可能な馬を用意させていただきました」


 うん、そうか、なるほど。


 とても怒れない雰囲気なので、五人は目くばせをしながら

だれが代表して言おうかと迷っていた。

 ちなみに、ここまで来た馬は疲労が溜まっていたことなどもあり、

ここに置いていくことになった。


「……あー、なんだ。

すまんが、走ったほうが早いな。

この馬っこたちは、だれか爺様たちでも来たときに

使ってくれや」


 オズマットが申し訳なさそうに頭をかきながら、

その若者の提案を断る。


 そのとき、王都から高速の飛空艇が出立した。

事態は、どんどん転がっていく。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ