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SOS 114 女子会

 結構な時間がかかったものの、

金目のものの回収を終えた一行は小休止を挟んでいた。


 グレース曰く、今回の陛下護衛の件や

諸々の対策費用でギルドの期末は大赤字らしかった。

 少しでも補填をするために全員が黙々と作業させられたが、

想像以上に貴重品や素材が集まり、

珍しくグレースがほくほくとした笑みを浮かべていた。


「これで、ベントリ様も喜んで下さることでしょう」


「(……あの、やっぱりサブマスって)」

「(うん、ギルマスにアレです)」

「(……ですよね、知ってました)」

「(? どういうことですか?)」


 シルビア、ヒナギク、サティとソアラが

普段と違うグレースを見てこそこそと話す。


 カイケンはちょっと疲れたような仕草で肩を回している。

ゼンに至っては慣れない作業でぐったりとしていた。


「さて、次に参りましょう」


 元気いっぱいのグレースに促されるまま、

全員が再び円陣を組む。


 先ほどと同じ様にゼンを中心に

カイケン→サティ→グレース→ソアラ→シルビア→ヒナギク→ゼン

の順番で座る。

 勝手知ったる、ではないが、

術式を安定して運用する為に同じ条件を

整えるのは基本中の基本だった。


「あの、一応次はどこに行くか聞いておいても……?」

 やや不安気なゼンがカイケンに尋ねる。


『なるほど、それもそうですね。

グレースさん、次は何処へ?』

「予定通り麓へ向かいます。

すでにベントリ様達は出立しているでしょうが、

状況が気になりますので」

『わかりました。だ、そうですよ』


 情報共有が終わったところで、

ゼンの準備が整った。


「《転移》」


 再び空間が途切れる。

しかし、先ほどよりもかなり滑らかな移動で、

全員が苦も無く転移を完了する。


 二度目なので驚きは少ないが、

その圧倒的効率の良さは異常だった。

 自力で長距離移動をすることが、

今後面倒になりそうな予感がする面々。


「さて、とにかく最寄りの宿場に行きましょう」

「掲示板はサブマスとヒナギク管理官が確認されるとして、

私たちはどうしましょうか」

「待機で。疲れたでしょうし、休んでおいて下さい」


 グレースとサティが打ち合わせをして、

今後の方針がサクッと決まる。

 しかし、ここに移動した瞬間から

ヒナギクの表情が俄かに厳しく険しいものとなった。


「……ヒナ、何か気になることでも?」

 ヒナギクと付き合いの長いグレースは、

超直感的なその危機察知能力を高く評価していた。

 ここまでの表情を作るとは、よほどのことだと思えた。


「なんか、オズさんがイチャイチャした気配を感じる

………………浮気?」

 結構な殺気がダダ漏れになっている様子を見て、

女性陣が距離を取る。


「(……ヒナさんって、オズマット教務官に……)」

「(本気だったんですね)」

「(昔からね)」

「(? どういうことですか?)」


 サティ、シルビア、グレース、ソアラが

こそこそと話をする。


 カイケンとゼンは殺気の波動に押され、

さらに距離を取って見守っていた。


「……いやでも、この町はそういう店もないし、

勘違いじゃないかしら?」

 グレースが年長の務めでヒナギクを窘める。

「違います。勘ですけど、

長い髪をはためかせて、やたら高貴に振る舞う女が

さも純粋無垢な感じを装いオズさんに色目を使った気配を

濃厚に感じます」

「…………えらく具体的な勘ね」


 さしものグレースもヒナギクにドン引きしているが、

それはそれでまあ、そんなものかと割り切り

二人で掲示板へと向かう。

 途中で甘いものでも買ってやり、機嫌を直してもらうか。

と、グレースは考えながら歩いた。


 二人を見送ったあと、カイケンはふと

何かを思いついたように残った女性陣に尋ねる。

『そういえば、

みなさんは御結婚とかされていないのですか?』

「全員独身ですよ」

 サティが代表して答える。冒険者ギルド職員では

未婚率が高いので特に恥ずかしいものでもない。


『いい人もいないんですか?』

「いませんよ」

「わたしも」

「…え、あ、わたしもです」


 サティ、シルビア、ソアラが答える。

「あ、でも、

サティ先輩はピース先輩と付き合ってるという噂が」

「はい? ないない、無いから。

どうして私があんなチャランポランな人と」

「でも、ピース先輩っていろいろ面倒見が良いって聞きますけど」

「だったらあなたが付き合ってみれば?

秒速で浮気する男よ」

「……それを知ってるということはつまり」

「違う! 違います! 同期で同じ仕事をすることが

多かっただけ! 変な勘ぐりはしないでよ」


 女子会は盛り上がり、近くの出店で

お茶をしながら話すことになった。

 カイケンは適当に楽しそうな相槌を打っているものの、

ゼンは借りてきた猫のように大人しく過ごす羽目になる。


 その後、グレースとヒナギクが大慌てで舞い戻ってくるのだが

それはまた別の話だった。





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