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SOS 113 回収

「 」


 音と空間が削られ、

全く別の空間が浸食してくる。


 ゼンの思っていた転移はいわゆる瞬間移動だが、

カイケンの主導するそれは、やや異なっていた。


 説明が難しいが、

パソコンで言うところの

コピー&ペーストに似ている。


 転移先と転移元に同時並列で

自分が存在するのを感じる。

 お互いに意識のある鏡写しの状態。

いや、ドッペルゲンガーか? どうだろう。


 次の瞬間には転移先の意識が

強くハッキリと変わり、反対に転移元の意識は

パタリと途絶える。


 気がつくと、全員が平地に移動を完了していた。


「……ふざけた術式です」

「これひとつで一生食べていけますね」

「いやいや、一族を纏めて面倒みられますよ」

「そんなもんじゃありません。国を興せます」


 ヒナギク、シルビア、サティ、グレースが

各々の意見を口にする。


 一方のゼンは今回無事に終わったことで

かなりホッとしていた。

 ソアラはソアラで、

自分が足を引っ張らずに済み

胸を撫で下ろす。


『ここは……

《洞穴》の入り口付近ですね。

さすがグレースさん。

ほとんどズレが無い』

「誉めても何も出ないわよ。

私とサティ、それとシルビアで

《洞穴》の状況確認。

その後、転移で麓に降りましょう」


「……え、またやるんですか?」


 空気で何となくの状況を察したゼンは

二人を見る。


『そうですね、てっきりカルマリに戻るのかと

思っていましたが、グレースさんは

《洞穴》の状態が気になったようですから。

ま、ここだけの話、ソアラさんの保有量なら

あと10回は余裕ですから大丈夫ですよ』


 それ、先に言ってくださいよ、と

声に出さずにゼンは思った。


 サクサクとグレースに段取りが組まれ、

ヒナギクとソアラ、そしてカイケンとゼンは

その場で待機することになった。


「……あの、何で二手に分かれたんですか?」

 暇を持て余したゼンがカイケンに尋ねる。


『え? ああ、多分まだ私とゼンくんが

グレースさんに信用されてないんですよ』

「へ?」

『現場の痕跡の証拠隠滅とか諸々、

されると面倒ですからね』

「……そうなんですか」


 こそこそと話すゼンとカイケンに

ヒナギクは耳をそばだてるが、

やはり一向に会話の内容が分からない。


 まるで聞いたことのない言語体系だ。


「(……このカイケンって、何者なんです?)」


 ヒナギクは特に行動を起こすでもなく、

寛ぐように近くの木陰で身体を休めていた。

 ソアラもそれに習って、岩場に腰を下ろしている。


「……ちょっと、全員来て」

「あれ? お早い戻りですね」


 先ほど《洞穴》に向かった三人がすぐに帰ってきた。


「人手が足りないのよ」

「?」


 連れて行かれた四人が見たものは、

《洞穴》内から外の付近までバラバラと転がっている

妙な怪物の死体? いや、部品? のようなモノたちだった。


 何で出来ているかよくわからない、

生もののような金属のような、

そんなモノが散乱している。


「これ、何です?」

「分からないけど、あの後で抗戦した痕でしょうね。

でも、これだけの戦果品を放置するとは考えにくいわ」


 それは、討伐した証拠という意味でもそうだが、

単純な貴重品としてもだ。

 もちろん、現場にはギルド職員もいたので、

普段とは違い討伐証明はそこまで必要では無いが、

今回はやや事情が異なった。


 一見分かりにくいものの、

明らかに高価な代物である、宝飾系、魔石・神石系や

それ以上に見たことのない代物で

溢れかえっている現場。


 適時採取の行動指針を常に持つ冒険者連中が

こんなものを放置してどこかに行くとは思えない。


「それ以上に、緊急的な事態になった……ということです?」

「返り討ちに遭った、ということでしょうか?」

「現場を見る限りでは、こっちが優勢だったと思うわ」

「とすれば、勝ったけれど即時の撤退をすることになった、

ということになりますが」


 ヒナギク、シルビア、グレース、サティが

議論する。しかし、これだけでは答えが出ない。

 ソアラはもちろん、聞き役に回っている。

但し、書記ではないので記録には残していない。


「……仕方ない、高価なものだけ回収して、

再度転移しましょう。

無論、あなた方もお手伝いいただけますよね?」


 グレースが、カイケンとゼンに目配せする。

お願いではなく、強制の類らしかった。


『イエッサ』


 カイケンが適当な返事で承諾の意向を伝える。





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