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SOS 110 判断

 ミオンにこってり絞られたオズマットは、

ベントリとピース、その他の職員と一緒に

簡易宿舎に泊まっていた。


 冒険者連中は各々好き勝手に行動を開始しており、

カルマリへ戻るもの、この場で待機するもの、

《洞穴》へ向かうものなど、動きが分かれていた。


 リオンとミオン、他の従者達は

街で一番豪華といってもしれているが

宿泊施設に泊まっている。


 正直、無理やりリオンに

誘われなかっただけ有り難いことだった。

命令権限的には、言われれば受けざるを得ない関係性だから

そのほっとした気持ちは何にも代えがたいものであった。


「残念すね、お誘いが無くて」

「うっせえ! 見捨てやがったくせによ」

「まあまあ、とりあえず晩御飯にでもしましょう。

いつ何時、緊急事態になるかわかりませんからね」


 むさ苦しく男三人で食卓を囲む。

とはいえ、気心が知れているので

下手に女性陣を巻き込むよりは気が楽だ。


「ん? てゆーか思ったんすけど」

「何が?」

「《洞穴》にはカイケンさんもいるんすよね?」

「振り分けはそうだな」

「カイケンさんに頼んで、あの不思議な跳ね馬?

みたいな乗り物借りれば、リオン様もすぐに

帰れるんじゃないすか?」

「いや、あの乗り物は少々まずいですね」


 ピースとオズマットの会話に

ベントリが口を挟む。

 ちなみに、大概の男はこういう時

肉類しか注文しないのだが、栄養価にうるさいベントリが

いた場合、野菜や根菜類も強制的に食べさせられる。

 そのため、食卓は男だけとは思えない彩りに溢れている。


「まずい、って何がです?」

「カイケン氏の話ではあれは『飛んでいる』のではなく

『跳ねている』らしいですが、誰がどう見ても

飛んでいるようにしか見えません。

そもそもあの速度で移動できる乗り物など、

確実に法に引っかかりますよ」

「でも、緊急事態は緊急事態でしょ?」

「それでも、緊急事態が終わればそれは平時です。

その時の罪を後から遡って咎められるのも

また仕方ないことです」

「役人って、頭固いっすからね~」


 自分の立場を棚に上げて、ピースは他をあげつらう。

もちろん、ピースの気持ちがわからないでは無い

二人は苦笑いするにとどめるが、

事態は既に面倒なことになっており、

ピースの言うように少々危険な橋を渡らなければいけない

状態が迫っていることも事実だった。


「で、結局、御身が……ってまじなんすか?」

 さすがのピースも声を顰めてベントリに尋ねる。

反対に言えば、この現場感覚の絶妙さが

ピースの才能でもある。


「さっき見た上級管理職用の掲示板ではね。もっとも、

あの情報全てが正しいとは思いにくいですが、

まるきり嘘ではないでしょう。

少なくとも何かあったのは間違いない」

「でも、戻るの早すぎるでしょ?

高速機動車でも使ったんすか?」

「それはない、あれは準備に時間がかかるし、

専門の技術者が何人も必要になる。

わざわざこんなところにお披露目で

持ってくる代物じゃない」

「じゃあ《洞穴》に向かったのは、影武者?」

「それもない、リオンが気づくだろうし、

本人も自分が行くことに拘っていたからな」

「となると、やはり本人に

何かあったと考えるべきでしょうね」


 一体《洞穴》で何があったのか、

情報伝達手段に制限のあるこの状態では、

憶測や予想でしか行動の指針が決めきれない。


「……サブマスもみんなも、無事だといいっすけどね」

 ぽつりとピースが呟く。普段ちゃらけてても

こういうところは真面目だったりする男だ。


「大丈夫でしょう。少なくとも彼女は無事です」

 ベントリは本当にそう思っているらしく、

動揺は微塵も感じられない。


「それに、ヒナギクさんもいますから、

上手く立ち回ってくれることでしょう」


「いやでも、そりゃヒナさんは強いすけど、

言ってもまだ12.3歳ですよ?

《宝銘》相手だとやばいでしょ?」


「まあ、確かに、むらっ気はあるが、

あいつには天稟(てんぴん)の才能がある。

俺が若い頃なら、弟子入りでも志願しただろうな。

あと10年もすればあいつ自身が《宝銘》にでも

なってると思うぜ。

まだ、勝てはしないかもしれないが、

負けるところは想像が出来ないな」


「え? ヒナさんてそんなに強いんすか……?」


「少なくとも一対一では

私に勝てる要素がないので……

まあ、私よりは強いんじゃないですかね」


 ベントリがあっさりと敗北を認めた。


「じゃあ、ひとまずそれはおいておくとして、

今後はどうします?」

「明日には戻り始めるしか無いでしょうね。

でなければ、こっちが反乱軍扱いされます」

「だな」

「おそらく他の王族方や他国の重鎮も

此方にくるでしょう。

下手な勘ぐりは避けたいところです。

木偶の坊と思われても、そっちの方が

ずっといい」

「際どい立場っすね」


 夜は更けても、朝は遠い。

けれどいつしかやってくる。

三者三様に頭を悩ましていた。



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