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SOS 104 ミオン

 リオンの緊急治療室は盛況で、

関係無さそうな奴らもちょいちょい混ざっている。

 ただ、リオン自身がそれを否定せず

にこやかに治療に当たっているため

無理やり中断させることも出来ずにいた。


「ちょっと! 

どういうことでございますか!?

リオン様お一人に治癒をさせて!

あなた方は見ているだけですか!」


 側付き従者のミオンが、

えらい剣幕でまくしたてる。


 上の意向で《洞穴》には付き添えず、

半ば意気消沈していたところ、

リオンがまるで物語の女神のように

光臨したことも相まって、

その表情はある意味危険な状態を

体現していた。


 要するに恍惚というやつだ。


 そんな奇跡的な邂逅を

現在進行形で邪魔されているミオンは

年上のオズマットにも

臆せず喰ってかかっている。


「いやね? それも提案したんですが、

これも修業ということで、

御自身で行いたいというわけでね?」


「何を馬鹿なことを!

どう考えても、修業が必要なのは

リオン様ではなくてあなた方でしょう!」


 まあ、言われてみればそれもそうだな。と、

ミオンの反論に妙に納得しながら、

オズマットは向こうのリオンを見た。


 先ほどのフランドル討伐については、

傍目ではリオンがほとんど1人で

片付けたように見えたことだろう。


 それはオズマットの望むことであったので

別段構わないのだが、リオン自身は

才能がある故に、オズマットやベントリとの

実力差を肌で感じてしまったらしい。


 リオンの年齢と経験を踏まえれば、

寧ろリオンの方が末恐ろしい才能に

溢れているのだが、若い時分はそういう割り切り方が

出来ないものなのだろう。


 すると、ある意味当然の如くリオンと目が合った。

特に用事はないので、ふいと目を逸らしたのだが、

リオンは治療中の男性に断りを入れると、

何故かオズマットの方に近づいてくる。


「オーサー先生。何か問題でもございましたか?」

「え? いえ、特に何もありませんが?」


 冷汗をかくオズマットに、

ミオンの突き刺さるような視線が向けられる。


「ですが、先ほど困ったような表情をされておりました。

何か、わたくしの術式に不手際などありましたでしょうか?」

「え? いやいや、ないない無いですよ。

もう、リオン様の術式は完璧ですよ」

「……先生。その態度はあんまりじゃありませんか?

さっきはあんなに熱心にご指導してくださいましたのに」


「熱心に……ご指導……?」


 あ、ヤバイ。


 と、オズマットが逃げ出す前に、

ミオンに手首をがっちりと掴まれる。


「申し訳ございません、リオン様。

わたくし、こちらのオーサー先生と、

大事な、大事な、非常に大事なお話がございます。

ええ、それはもう、とても大事なお話なのです。

よって、少しばかりお時間を頂戴しますが、

よろしいでしょうか?」


 薄ら寒い気配が濃厚になるミオン。

リオンはそのことに全く気が付かず、

「そうなのですね。わかりました」と素直に頷く。


「さて、オーサー先生?

こちらへ。

もちろん、問題ありませんよね?」


 精一杯の作り笑いでオズマットを見るミオンの目は、

全く笑っていなかった。


「あ、はい、わかりました……」


 オズマットは逃げる気力も失せ、

引き摺られるように近くの建物の裏へと連れて行かれる。



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