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SOS 103 反逆

 カルマ領の領主であるカルディア・ラーゼンは突然のことに

戸惑いを隠せなかった。

 最初に報告を受けた時は、半信半疑というよりも

疑いの方が強かったものの、いざ実情を目の当たりにすると、

信じざるを得なくなった。


 今、彼はカルマリの治癒院にて緊急治療を受けている

国王陛下の前に居る。


 陛下は血の気の引いた顔色をしているものの、

担当官によれば幸い状態は安定しているらしく、

出血しすぎたことによる

衝動的な容態変化は収まっているという。


『領主様、いかがですか?』


 あまり話の内容が頭に入って来ず、

カルディアは無言で聞き返す。

 その反応を受け、近衛兵長はもう一度

同じ説明を繰り返す。


『今回の事件、反逆者を擁立した組織は

もはや明白。一刻も早く討伐指示を出すべきかと』

「討伐指示……?」


『はい、無論ですが

上位権限者への討伐指示をするなど、

元来国法では認められておりませんが、

それには例外がございます。

自身の上位権限者の生命の危機が明確な場合、

その敵対する勢力に対して、

いかな立場、存在にあるものであっても

討伐権を付与されるものとする。

というものです』


 そんな法律はもちろん知っている。

問題は、それを使わなければいけないという

その重みだ。


『今回、我らの唯一の上位権限者である

国王陛下が凶刃に臥せっておられます。

今のこのときは、我等近衛兵は

カルマ領主であるラーゼン様の

指揮命令系統化にございます』


 確かに、それはそうだ。

この凱旋は軍事行動ではなく、

あくまで「国家掲揚」を旗印にした

行事の一環である。


 近衛兵は本来、国王陛下の直下組織であり、

戦術ギルドとは別系統で維持されるものだ。

 故に、陛下の意思で自由に動かすことができる。

もちろん、戦術ギルドを含めたすべての組織は

国に従うという意味では陛下の下部組織であるのだが

動かすためにはいろいろと手順が必要だったりする。


『今回の首謀者は、複数のギルドにまたがって

暗躍をしております。

ゆえに、他のギルド連中にこの情報を流せば

陛下の身にさらなる危険が訪れましょう』


「つまり……?」


『今、現段階で判明している首謀者を庇護するギルドに対し

討伐指示を戴きたいのです』


「……首謀者はどこのギルドなんだ?」


『神導術ギルドと学術ギルド……即ち、古歴部の連中です。

今回の襲撃は、彼らの後ろ盾である陛下の弟君による

国家反逆の狼煙でしょう』


 ラーゼンはごくりと息を飲み込む。

それはまさに、国の根幹を揺るがす事態だからだ。


 そして、そこで兵長の行動に合点が行く。

この治癒院は学術ギルドでも神導術ギルドでもなく、

主教ギルドの系列の院だ。


 格式と実績を考えれば、ここではなく他の治癒院が

一番最適だろうが、今回の事情でそこが使えないと

判断されたわけだ。


 反対に言えば、これは最早、

悠長に構えていることが出来ない状態であることを

如実に表していた。


『さあ、御英断を!』


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