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SOS 102 激動

 《洞穴》の入り口では未だに戦闘が

継続されていたが、一時の混沌は

収まりつつあった。


 数と連携の差で、冒険者の方に

軍配が上がりそうな空気だ。


「おめえら! もう一息だ!」

「「「応!」」」


 野太い声は活力に溢れており、

最年長の冒険者である男は、

味方の勝利を確信した。


 そこで、冒険者ギルドのサブマスターである

グレースのことを思い出し、

事後処理の手伝いでもしてやることにした。


 端的に、恩を売っておこうと

考えたわけだ。


 冒険者ギルド職員は

国王陛下の手当てを優先しているはず。

 年嵩の冒険者である彼は、

別段その判断に思うところはなく、

至極当たり前のこととして

受け入れている。


「おい! そっちは大丈夫か?」


 隠蔽術式の向こうで、

簡素な建物が作られていた。

 突貫で作った土のかまくらだ。


「入るぞ!」


 不敬罪を受けないように、

大声を張り上げて中に入ることを

強調する冒険者。

 あくまでも職員に対する声かけであるため

敬語でなくても問題はない。

 冒険者とはそういう生き物だ。


 だがしかし、そもそもの不敬罪の要件は

満たされていなかった。


 冒険者ギルド職員は全員中で

気絶しており、

居るはずの国王陛下は忽然と

その姿を消していたからだ。


「……おう、こりゃ何つーか

…………ヤベエなおい」


 自由を体現する冒険者にとっても、

さすがにこれは国家の一大事であると

認識する他なかった。




『おい! 誰かあるか!?』


 その頃、カルマリの領城の城門前で、

城門を震わせるほどの大音声で

叫ぶ男がいた。


 祭りの最中にはよく

この手の不審者(よっぱらい)

頻出するので、門番の兵士も

のたのたと出張り、

「はいはい。どうしたんだよ?」

と、適当な相槌を打つ。


 この前は「竜が出た!」とか騒いでいる

集団がいたが、結局酔っ払いの戯言と判明した。


『領主殿はおいでか!

早くお目通しを頼む!』


 おいおい、とぼやきながら

門兵は相手を見る。

 ……あれ? 酔っ払いじゃない?


『緊急事態だ!

ともすれば領主殿の責任問題にもなるぞ!』


 そこにはがっちりとした体躯の

青年将校がいた。というか、

戦術ギルド所属のフランドルだ。


 肩書きとしては、自分の遥か上に位置する

将校様だが、実際に会話をしたことは無い。

 式典などで遥か後方から

後ろ姿を眺めたことが何度かあるだけだ。


 それでも見たことはある。


『貴様! 聞こえているのか!』

「ひっ!?」


 若い門兵は思わず尻餅をつく。

お尻に鈍い痛みが走るが、

後のフランドルの言葉を聞いて、

それどころではなくなる。


『このカルマリに

国家反逆罪の下手人が居る。

早く対策を施さねば、

カルマ領が召し上げられる可能性もある』


 国家反逆罪?

 門兵は鬼の形相で睨みつける

フランドルの言葉を

ただ呆然と聞き流していた。

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