プロローグ②
今、ワシの前には白一色の部屋が広がっている。
何のことか分からんと思うがワシにもサッパリ分からん。
成仏したと思ったらそこは知らない部屋、
かの銀の戦車を操るフランス人の男の気持ちもよくわかるわい。
「おかしいのぉ、、、自分は確かに成仏したはずなんじゃが。地獄の裁判所にしてはちと味気ないうえに地獄っぽさが無いしのお。」
と惚けつつも、読んでいた本の中に最近流行りの本も多く混じっていたのでワシにはなんとなくこの先の展開に予想がついていた、
おそらくはこの後―――
「その通りだよ。」
、、、やはりな、心の声に反応してくるのも
「神様だからな。」
「年寄りの話は最後まで聞かんかい。」
「いいじゃねえかよ、神様なんだからさほら神様だぜ?カ・ミ・サ・マ。」
「神様のくせにありがたみの欠片も感じんセリフじゃな。」
そう言いつつ後ろを振り返ると、そこには筋骨隆々のたくましい男神がおった。
髪も瞳も燃えるような真紅、
身長は2mを超えておるであろうか、
年を取って背が縮んでしまったワシから見ると見上げるような巨体であった。
神話でよく見るようなヒマティオンを羽織っており、そのたくましい筋肉が惜しげもなく晒されていた。
「はぁ、、神様ならもっと荘厳に、物静かにしておけ。
そんなんだと信者が、、、」
おっと、いかんな、死んだ直後だからか知らんがだるくて説教臭くなっとる、
頑固爺は嫌われるでな。
第一、印象だけで人を決めつけたらただのいやな奴じゃからな。
「さて、説教臭くなってすまんかったの。わしはどうすればええんじゃ。」
「いいぜ、神様は寛容だからな。
で、何をしろっていうか、、、まあ、、、説明が面倒だな。」
「なんじゃ歯切れが悪いの、ほれいうてみい魔王倒せーだとか邪神封じろ―だのやるかどうかは別として話くらいは聞いてやるぞ?話くらいは。」
これでも生前はお悩み相談室みたいなんもやってたんじゃ、どーんとこいじゃて。
そんな心構えで待ち構えていると。
「聞くだけかよ、そんな用じゃないから安心しろ。」
「なんじゃ、魔王とか邪神とかおらんのか?」
「いや、いるぞ?ただし“魔法の”王と“封印された”邪神だけどな。
ていうかそんなに聞くってこたあ戦いてえのか?」
「いや、いるなら気を付けようと思っただけじゃよ。」
「そうか。」
邪神の“封印された”がちいと気になるが、神同士のことなんじゃし神同士でなんとかするじゃろ。
「で?んじゃ何でわしは呼ばれたんじゃ?」
「ああ、それはだな。この世界には魔力というものがある。
だが、それは放っておくとたまる一方だし、生物が消費しようにも総量が多すぎて大して変わらんというわけなんだわ。」
「ふむ、だがそれがわしのこれ、、、このままいくと転生になるのか?と何のかんけいがあるんじゃ?」
その余剰分を使い切れってことなんじゃったら多分無理じゃぞ?
「まあ待て、本題はここからだ、たまっていく魔力も放っておいたらパンクする、ってことで俺たち神が1000年に一度位の頻度でガス抜きってことでどっか違う異世界に送るんだ。」
ちと待て、話が見えてきたぞ、
吐き出すってことはどっかで必ず吸うはずじゃ、もしそこに居場所が不安定な霊みたいなんがおれば、、、
「その通り、巻き込まれちまうわけだ。
何回かに一度位あるんだよ、こういうこと。で、俺たちはそういうのを見つけたら捕まえて、送る場所もないから転生させるわけだ。」
「なるほどな、よくある話じゃ転生特典なんかも有ったりするらしいが、あるんか?」
よくあるやつじゃとそんなんで“ちーと”というのをするんじゃよな、
血沸き肉躍る感じってやつじゃな。
すると神は口角を挙げて「あるぜ。」といった。
「話が早くて助かるな、んじゃそれについて説明するか。」
ここからこいつ、、、いつまでもこれでは呼びづらいな。
「すまん、名を教えてくれんか?」
「ああ、アレスだぜアレス、軍神の、名前くらいは聞いたことあるんじゃねえか?」
ふむ、、、とワシは少し考えてから。
「無いな。」
と答えた。
日本神話ならある程度分かるんじゃがなあ、国外となるとな、、、
「そうか、まあいい。」
「すまんの。」
「じゃあ、説明を再開するぞ。」
「よろしく頼む。」
というわけで説明された内容をまとめると。
曰く、その人にもともと眠っている才能や可能性を開花させ、
生前積んだ善行に応じて増える徳ポイント――これだけきいたらバーゲンがありそうじゃな――通称TPの量によって能力が選ばれるそうじゃ。
ここで重要なのは選“ばれる”ということじゃな、選べるわけではないらしい。
能力にはピンからキリまであるらしいがハズレは無いらしく、転生後の種族なんかもここで決まるらしい。
というわけでわしのTPを見せてもらと
『TP:28900』
とのことだった、
これは割と高いほうらしいので素直に喜ぼう、
しかし強い能力となると年甲斐もなく少年の心が疼きよる、
ここら辺が「男はみな餓鬼だ」と言われてしまう所以なのであろう。
「よっし、じゃあ始めるぞー。」
おっと、考え事をしていたら準備がもう終わったようだ。
「んじゃ、これな」
と羊皮紙が手渡された、
なんじゃろうと思っておると。
「これに今からお前の能力らが書き写される、才能は称号として、選ばれた能力はスキルとしてここ
に現れる、お前のTPだとスキルは3つってところか、
じゃあ始めるぞ。」
アレスのその言葉と同時に羊皮紙に文字が書かれてゆく、
それによるとワシのスキルはこうらしい。
===================
種族:鬼族(黒鬼種 変異型)
・無限の成長
・武芸の神髄
・森羅万象の神眼
称号
・童帝
・幼子達の人気者
・愛されし者
===================
以上がワシのスキル、及び種族のようじゃ。
とはいえ、赤子の頃からこれらのスキルを扱えると危険なので
ワシとしての自我がはっきりと定着する3歳までこれらは封印されるらしい。
3歳を超すと任意で封印の解除が可能となるようじゃ。
ふむ取りあえずは分かったがいろいろと聞きたいことがあるの、
質問タイムと行こうか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「スキルは確認したか?」
ワシが羊皮紙をざっと確認したタイミングを見計らってアレスがそう話しかけてきた。
「ああ、しかし分からんことも色々あるのでな。
聞いてもよいか?」
「おう、いいぜ。」
とのことだったので、早速質問することにした。
「まず、スキルの詳細を知りたいんじゃが。」
「ああ、それについてなんだがな、いつもなら俺たちが説明するんだがお前『森羅万象の神眼』持っ
てただろ?
それ使ったほうが早いと思うぜ?心の中で『発動』って念じたら起動するはずだ。」
ふむ、では早速見てみるか。
―無限の成長―
限界なき者へ至るためのスキル。
所得経験値UP、スキル習得率UP、限界突破の3つのスキルが内包されている、
神授スキルであるため、他のスキルの影響を受けない。
―武芸の神髄―
武芸の神髄に至らんとする者のためのスキル。
様々な武芸への適性が開花し、
中でも生まれつきの才能を持つものへは凄まじい恩恵が与えられる。
それに関してのみ言えば神に至ることも可能となる。
神授スキルであるため、他のスキルからの影響を受けない。
―森羅万象の神眼―
魔眼:鑑定眼の最上位スキルで、世界三大神魔眼の一つといわれる。
その名の通り世界のあらゆるものを見通すことが可能であり、
他の魔眼の効果を打ち消すことも可能である。
―幼子達の人気者―
数多の幼子に愛されているものの称号。
幼子(見た目だけでも可)からの信頼度にボーナスが加わる。
―愛されし者―
多くの人々に愛された者の称号。
ちょっとやそっとの善行だけでは手に入らず、これを持っているということは将来が心配になるほどのお人よしである。
また、全ての生物からの好感度に補正が入る。
で、最後にこれか
―童帝―
死ぬまで童貞を貫き通した者の称号。
ただ異性との接点が無かったからという理由では習得できず、
割とレアな称号である。
自分の仲間、又は配下が幼ければ(見た目だけでも可)加護を与え、
そのものが所得した経験値の一部をこちらも所得できるという能力も持つ。
また、この称号を持つ者とその配下、及び部下は年をは20歳から年を取らなくなる。(配下の場合は所有者が任意で上限年数を設定できる。しかし、若返りは不可。)
能力を持つ称号は珍しく、こちらの意味でもレアである。
以上が鑑定してみた結果である。
甚だ不本意な称号が1つあるが、、、まあいいだろう。
別に狙って童貞でいたわけじゃないんじゃがの。
「終わったぞ。」
「おっ、そうか
他に質問はあるか?」
終わったので話しかけたら即座に返事が返ってきた、
途中から寝始めたから大丈夫なんかこいつと思っておったが案外ちゃんとしておるんじゃの。
「では、種族について教えてもらおうかの。」
「何だ、そっちは神眼で確認しなかったのか?」
「ワシ、コミュニケーションって大事だと思うんじゃ。」
実は目が疲れただけなんじゃが、、、まあ態々素直に言う必要もないじゃろ。
「心の声聞こえてますよーっと。
まあいい、お前の種族は鬼族という、鬼族には赤鬼、青鬼、黄鬼、黒鬼、白鬼の五種類がいてな、それぞれ得意とする魔法の属性が違う。
赤は火、青は水、黄は雷、白は回復といった風にな、ただし黒は少々特殊でな、
これといって属性は無く、得意なのは身体強化系統と相手へのデバフだ、
強いて言うなら闇属性だな。
見分け方は毛髪の色と角の色だ、これらの色は種の名に冠している色と連動している。
後は、一般的な人族よりも寿命が長く力が強い反面魔力が低い傾向にあるな。
変異型についてだがこれはその名の通り少し他とは違う特性が現れたりする。これについたは転生してから確認するこったな。」
なるほど、アレスの言い方からすると他にも多くの種族がいそうだが、
これは聞かずに転生後の楽しみとしておくか。
「他には?気になるものはあるか?」
ふむ、、、大して気になるものもないしのお
と考えたところで、先ほど称号を見た時に気になったことを思い出した。
「ワシの称号の能力内に不老のようなニュアンスのものがあったのじゃが、
それが原因で国に狙われたりはせんかの?」
「いや、大丈夫だと思うぜ。この世界じゃレベルが高いほど寿命も延びてく、千歳越えだってたまに見るくらいだ。」
「ふむ、、、少し心配じゃが大丈夫じゃろう。
その時はその時の自分がかんがえるわい。」
「おう、じゃあもう転生ってことでいいか?」
「うむ、頼んだ。
何か気になればあっちで調べるわい。」
「そうか、じゃあ転生する前に『言語変換』と『アイテムボックス』をお前に授けておく。
アイテムボックスのスキルは大抵のやつが持っているから気にせず使ってくれ。
じゃあ、お前の善き来世を祈ってるぜ。」
「ああ、ではの。」
そういってワシの体はこの何もない真っ白な空間から姿を消した。
『ピロン! 軍神の加護を手に入れました。』
―軍神の加護―
軍神アレスに気に入られた証。
筋力の上昇値に大きな補正がかかる。




