第三話-2(改)
激しい緊張を振り払うように、瑠璃が強い声で語りかけてくる。
まるで、その一言に自分のすべてを込めるかのような熱量で。
それほどの決意が、今の瑠璃にはあった。
俺の怪我のことで苦しみ、悩み、泣いていた瑠璃が、今こうして自分の想いをぶつけてくれようとしている。
それが、この上なく嬉しかった。
伝えたいことがどんな内容であれ、俺はきっと受け止めなければならない。
たとえ、それが悲しい言葉だったとしても。
――その時だった。
『ぐぅうぅぅぅぅ……』
「……」
「……」
……なんで、このタイミングなんだろう。
いや、仕方ないのは分かっている。
朝から何も食べずに山道を歩いていれば、お腹だって空く。
それに、瑠璃は普段から体型に気を遣っている。
節制もしているだろうし、間食だって控えているはずだ。
でも――。
よりによって、今か。
目の前で、瑠璃はしゃがみ込み、両手で顔を覆っていた。
肩がぷるぷると震えている。
さっきまでのあの張り詰めた熱量との落差があまりにも大きくて、思わず言葉を失う。
……困った。
気にするな、なんて言っても無理だろう。
笑い話にするのは、さすがに無神経すぎる。
なら――。
俺はそっと手を差し伸べ、瑠璃をゆっくり立ち上がらせる。
涙ぐんだ彼女に、小さく笑いかけた。
「俺もお腹空いたし、そろそろ帰ろうよ」
我ながら、上手い言葉ではないと思った。
けれど瑠璃は、小さく頷いてくれた。
そのまま数歩歩いてから、ふいに立ち止まり、涙目のまま俺を見上げる。
そして、消え入りそうな声で呟いた。
「ねぇ……おはぎ、食べよう?」




