第十一話-2
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朝、制服に袖を通す。
ブラウスは綺麗にアイロンを掛け、スカートだってプリーツの折り目がはっきりしている方が気持ちが良い。
だから、わざわざ皺になるような『折り』を入れて短くなんて見せない。
・・・時々、可愛くて羨ましいな、と思わなくもないけど。
上着だってそう。
着崩したりしない。
だらしなく見えるよりも、皺が入るのが嫌。
リボンだって、きちんと綺麗に。
綺麗に着崩す技術があるなら、それも身に付けたいとは思うけど、でもやらない。
だって、隣に居る真まで『同じ』ように見られたらと思うと、いくら『可愛い』があっても出来ない。
多分、真はどれだけ『可愛い』って言われても、素直には喜べない。
男の子連中から『可愛い』と思われても、先日みたいに苦しむだけ。
それでも服装をきちんと整えるのは、多分だけど、私が隣に居るからじゃないかな。
中学に入る頃まで、あまり気にしなかったと言えばそうなんだけど、周囲から『浮く』人って目立ってしまうのね。
例えば行動。
例えば言動。
例えば服装。
『個性』と言ってしまえばそれで終わり、ではないのよね。
特に女の子は。
『同調圧力』と言うと言い過ぎかもしれないけど、集まってるメンツを見れば『似てるな』って思う瞬間があるんじゃないかな?
ギャルっぽいすっごい明るい子と、地味で大人しい目立たない子が一緒のグループを作るかと言えば・・・
まあ九分九厘無いかな?
グループを離れてしまえば仲が良い、なんて事はあるだろうけど、『集団』としては多分無い。
趣味や興味も、そこに含まれるかな?
・・・ここは男女問わず・・・?
もちろん、ひとつの趣味、ひとつの興味だけで集団が出来る訳じゃない。
趣味は同じだけど興味は別とか、その逆とか。
あるいは趣味も興味も違うけど、感情的に近いとか。
そういう意味では、私は『浮いてる』側。
でも、柚葉や他の友達がいるお陰で、『孤立』はしてない。真もね。
・・・
祐也が絡んでくるのも、そういう視点で見れば有難い事なのかな・・・。
でも・・・。
気が付けば、私は鏡の前で立ち尽くしていた。
時計の針が動く音が聞こえるくらいに私の周りは静寂で、それに比べて心の中は騒がしい。
これは不安?
何に対しての?
私が孤立する事?
違うよね。
真が孤立するのが怖いんだよ。
真を孤立させてしまう私が許せないんだよ。
そして・・・
真が孤立した時に、私じゃなく祐也を頼るのが嫌なんだよ。
・・・
判ってる。
先日、琥珀に言われて自覚した『独占欲』だって判ってる。
俯いて、少しだけ目を閉じる。
小さく息を吐き、呼吸を整えてから、改めて鏡の中の自分と向き合う。
・・・笑顔がない。
目が笑っていない。
だから、少しだけ頬を両手で揉みほぐす。
唇の両端に指を当て、上に向くように持ち上げてあげる。
うん。
大丈夫。
心配ないよ、私。
今日も、真と一緒に居よう。
少しでも真の力に・・・。




