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第七話-3

ああ、それにしても遅いな。


どうしよう?もう帰ってしまおうか、という考えが頭を過るのと同時に、屋上へのドアが開く。


誰か・・・おそらくは、差出人だろう人が足を踏み入れて来た。


緩やかな風が、コンクリートの床の埃を少し舞わせる。

先ほどよりも、少しだけ赤みを増した日差しを受ける彼。

涼しげな目元を少し綻ばせて浮かべる笑みは、見る人を惹きつける。

少し伸ばした髪も整えられており、清潔感のある良い雰囲気を纏っている。

すらりとした背は高く、アイドルとまでは言わないけれど、きっと憧れる人は多いのだろうとは想像がつく。


その彼は私の姿を見ると、少し明るい表情を浮かべ、軽い足取りで私の前に立つ。


にこやかな笑顔は、きっと女子の心を虜にするのだろうな。


見るからに好青年と呼べるような、そんな彼。この人が彼氏なってくれるなら、どんな女の子でも、きっと喜んでその隣に立とうとするだろう。


・・・私以外なら。


「北条さん、来てくれてありがとう。それと、お待たせしてごめんね。ちょっと、ホームルームの後、呼ばれちゃったもので・・・」

「そうなんですね。まあ、そんなには待ってませんので、気にしないでください。それで・・・ええっと・・・」

「ああ、ごめんなさい。僕は、4組の加賀です。加賀恵介」


4組か。という事は、祐也と同じクラスなんだな。

なるほど、だからか。


「加賀さん、ですか。・・・それで、今日はどのような御用でしょうか?」


私が知らないのも無理はない。

祐也がいるってだけで、私は4組には全く近づかないのだから。

祐也が嫌いって訳ではないのだけれど、どうも昔から・・・いや、祐也が真を追いかけて剣道を始めた頃から、あいつの事が気に入らない。


なぜかは判らないけど、どうにもイラっとする・・・。


幼馴染で、小さい頃には仲良かったはずなのに。


いや、今は目の前の彼に・・・加賀さんの話に集中しよう。それが、彼に対する最低限の礼儀のはず。


「それは・・・その・・・」

「・・・?」


加賀さんは少し顔を赤らめると、視線を私から外して俯く。

何か言いたそうにしつつ、決心がつかないような、そんな躊躇う姿も様になっていて、きっと女心を擽られるのだろう。


ややあって、大きく息を吸ってから、改めて彼の視線が私を捉える。


真剣な目。


決意の籠った、力の強い視線。


優しそうな顔だちのどこにこんな力があるのかと、思わず聞いてみたくなる程だ。


そして、


「北条さん。・・・北条瑠璃さん。僕は、あなたの事が好きです。・・・入学してからずっと、あなたの事を見ていました。なかなか決心がつかなかったんですけど、言わないと後悔すると思ったので・・・。あなたの事が好きです。・・・僕と、付き合って貰えませんか?」


少し震えるような声で・・・不安と決意の入り混じったような声で、彼は私にその想いを伝えてくれた。

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