6-1 女の勘は、あなどれない!
6ー1 女の勘は、侮れない!
冬が来る前に、俺は、クリスティア王国へと旅立つつもりだった。
だが、俺が出発しようとする度にアズミちゃんがついてきてしまうものだから、俺は、なかなかエレクシア王国から出発できずにいた。
うん。
もしかして何か感ずいてる?
女の勘、恐るべし。
こんなに幼くっても侮れない。
俺は、仕方なくアズミちゃんが寝入った深夜にこっそりと家を出ることにした。
なんか。
夜逃げみたいだな。
俺が街を出たところで転移ゲートの魔法のこもった弾丸を魔導銃に装填して足元の地面を打とうとしたとき、何かが闇の中で動いた。
「誰だ?」
「カナメ様」
ホリィの姿が闇の中から浮かび上がった。
ホリィは、エレクシア王国に来てからはエリオスの師団の一員となって働いていた。
そのホリィがなぜか、こんなところに現れたのだ。
俺は、驚いて息を飲んだ。
「ホリィ?」
「リゲル様に何も言わずに出掛けられるおつもりですか?」
咎めるようなホリィの言葉に、俺は、どきっとしていたが、同時に、思っていた。
リゲル様?
魔界に行ったことのない筈のホリィが、なぜ、アズミちゃんの本名を知っているんだ?
俺は、ホリィの方を振り向いた。
「ちょっとやんごとない用事があってな。すぐに戻るから」
「クリスティア王国に行くの?カナメ」
ええっ?
ホリィの背後から夜着姿のアズミちゃんが顔を覗かせた。
「アズミちゃん?」 俺は、アズミちゃんに訊ねた。
「なんで、それを?」
「ホリィは、僕が、エリオスに頼んで派遣してもらった魔界の騎士団の騎士だよ」
マジで?
俺は、妙に納得していた。
どうりで強いわけだ。
「カナメのことが心配で。本当は、僕がついていきたい。でも、僕が絡むとややこしくなっちゃって、カナメに迷惑をかけちゃうかもれないから」
「アズミちゃん」
俺は、ホリィとアズミちゃんの方へと歩み寄った。
「なんで?どうして俺がクリスティア王国へ行くって思うの?」
「それは・・」
アズミちゃんが口ごもった。
「ホリィの報告の中に奇妙に辻褄が合わないところがあったんだ。だから、僕は、直接ホリィの頭の中を覗気見ることにした。そしたら、記憶操作の魔法が使われた形跡があった」
「・・すまない」
俺は、ホリィとアズミちゃんに頭を下げた。
「だけど、このことは、俺とバサラティ王の2人だけしか知らない方がよかったんだ」
「このことって?」
アズミちゃんが訊ねた。
「姫が人間じゃないってこと?」
「ああ、まあ」
俺は、小声で頷いた。
「そうだな」
「なんで?」
アズミちゃんが俺の方へと駆け寄ってきた。
「なんで、カナメがあんな女のためにそこまでしなくっちゃいけないの?カナメは、もう充分過ぎる ぐらい、あの人や、この国のために働いているのに」




