5-11 存在しない誰かを探して
5ー11 存在しない誰かを探して
翌日、俺たちは、この街の教会へと向かった。
俺は、教会で出てきた神父にカリファのことを訊ねた。
カリファは、この街の教会の孤児院で育ったらしい。
「ああ。あの子ですか」
神父は、答えた。
「カリファは、とても優秀な光魔法の使い手でした。本当なら、将来は、教会で引き取ることになっていました。それが、この度、バサラティ王によって引き取られることになり、残念に思っています。が、あの子の将来を考えると喜ぶべきことなのでしょう」
ふむ。
本当に、カリファは、ここにいたのか?
ピコン。
ウィンドウが開いた。
『鑑定 嘘』
マジか?
この人、嘘ついてるの?
俺は、神父に礼を言って、教会を後にした。
その後、俺たちは、カリファがいたという孤児院へと向かった。
「あの子は、手のかからないいい子で」
孤児院の院長である初老の婦人は、言った。
「頭もいいし、優しくって、言うことのない子でした」
『鑑定 嘘』
マジか?
俺たちは、一日中、カリファの関係者を探し求めて聞き込みをしたけど、誰も、穏当のことを言ってはいなかった。
なんだ?
俺は、首を傾げた。
なんで、みんな、嘘をついてるわけ?
「ご主人様は、いったい誰のことを探しておられるのですか?」
ホリィが俺にきいたので、俺は、答えた。
「いや、探しているというか、きいているだけなんだけど」
「わたしには、ご主人様がいもしない人物のことを探しているようにしか思えません」
ホリィは、言った。
うん。
俺もなんか、そんな気がしてきた。
カリファ・レニ・クリスティア
彼は、いったい、何者なんだ?
日も暮れてきて、俺たちは、宿屋に帰ろうとしていた。
「よう、兄ちゃん」
不意に暗闇から現れた大男が俺の前に立ちふさがった。
「観光に来てるくせに、教会だのなんだのって、つまんねぇとこばっかし見てないで、俺たちと遊ぼうぜ」
はい?
俺は、ニヤニヤ笑っているその大男を見つめていた。
これって、もしかしてナンパ?
なわけねぇし!
俺は、きびすを返すとホリィの手をとって逃げ出そうとした。
「おっと、逃がさねぇぞ、兄ちゃん」
もう1人の男が出てきて俺たちの前をふさいだ。
「何をかぎ回ってるのか聞かしてもらおうか。素直に言えば、天国に連れてってやるぜ」
マジですか?
「いいです。オカマイナク」
俺は、ホリィのことをかばいながら、腰のホルスターに手を伸ばした。が、俺が銃を抜くより素早くホリィが男たちに飛びかかった。
ホリィは、ダンスを踊るように、華麗に男たちを叩きのめしていた。




