5-5 浮気調査ですか?
5ー5 浮気調査ですか?
「絶対にあり得ないのです」
姫は、俺を丘の上の屋敷の自分の執務室へと呼びつけると言った。
「だって、7年前といえば、母上が病に倒れられたころのこと。いくらなんでも、それは、あり得ないことだとは思いませんか?カナメ」
「それは」
俺は、うーん、と唸った。
確かに、嫁が病に倒れたときに愛人を作って隠し子をっていうのは、人としては間違ってるかもしれないけど、絶対にあり得ない話とはいえないしな。
姫は、なおも、俺に言った。
「父上は、母上が臥しておられる間、一日たりとも母上の側を離れられなかったのです。なぜ、遠く離れたバサラティ王国にいる愛人とやらに会いに行けるというのですか?」
うん。
姫にしては、理路整然としたことを言ってるな。
しかし、俺の鑑定能力が姫とあの少年が血族であることを証明しているんだぞ?
俺がそう言うと、姫は、負けずに言い返した。
「血族というのは、いろいろな種類があるではないですか。もしかしたら、遠い親戚とかなのかもしれないし」
「ああ?」
俺は、姫の言葉にも一理ある、と思っていた。
俺の鑑定能力は、あまりレベルが高くはない。まあ、間違いないだろうという程度のものだ。
事実、姫とカリファ少年についても、姉弟とかではなく、血族というザックリとした判定だった。
血族というだけでは、やっぱり姫も納得できないのだろう。
なんやかやで、俺は、バサラティ王国へと出向き、カリファ少年の身元を調べることになってしまった。
「なんで俺が」
「決まってるでしょ?あなたが一番、暇だからよ、カナメ」
はい?
まあ、みんな忙しいのはわかるけど、俺だってそれなりに仕事はしてるんですけど。
俺は、言い出したらきかない姫のために、仕方なく調査の旅にでることになった。
俺は、2日後に出発することになっているバサラティ行きの地竜に乗ることにした。
アズミちゃんは、俺と一緒に行きたがったが、そこは、エリオスと2人で止めた。
魔王であるアズミちゃんを狙っている者がいないとは言えない。
俺は、アズミちゃんを危険な目にあわせたくはなかった。
こうして、2日後の朝、エレクシア王国から、俺は、ただ1人で地竜の移動ホテルに乗って旅立つこととなった。




