5-4 ええっ?ご落胤ですか?
5ー4 ええっ?ご落胤ですか?
そんな平和が続いていた頃、事件は、起こった。
ある日、バサラティ王国の大使が1人の少年を連れてきた。
「この方は、先のクリスティア国王 のご落胤でございます」
はい?
つまり、隠し子ってことですか?
姫は、最初、笑って取り合わなかった。
「父上は、母上一筋のお方でした。そんなことはあり得ません」
しかし、年端もない少年をむげにすることもできず、とりあえず、受け入れることにした。
少年、というか、王子は、まだ、6才。
名前を、カリファ・レニ・クリスティア。
幼いながらも、どこか気品が漂う、美しい少年だった。
姫と同じ、銀髪に紫の瞳をしている。
だが、問題は、これだけではすまなかった。
王子の後ろ楯であるバサラティ王国国王ムジク・バサラティ国王がエレクシア王国の真の王となるべき存在は、もとクリスティア王国の王太子であるカリファだと言い出したことだった。
そんなバカな!
と思うのだが、王族の世界じゃ、これは、正しい主張というものなのらしかった。
まあ、俺には、姫じゃなくって、この王子とやらがエレクシアの王になっても別にかまわなかったのだがな。
でも、姫がさすがに気の毒なので、俺は、姫とカリファのDNAを調べる方法がないかと思った。
ピコン。
ウィンドウが開いた。
『スキル 鑑定』
マジですか?
鑑定の結果、姫とこの少年が間違いなく血族であるということがわかった。
この王子の物語は、脚色され、巷を賑わした。
いわく、『虐げられし、不遇の王子の成り上がり物語』らしい。
演劇になったり、物語になったりして、市民たちの涙を誘った。
事実、少年は、母を早くに亡くして、孤児として暮らしていたらしい。
そこを前王の友人だったバサラティ王に救われたのだと言う。
うん。
よくある話だよね。
でも、大衆というものは、よくある話を好むのだよ。
俺は、この件を傍観していた。
どうなるにしても、この国が守られればそれでいいのだ。
まあ。
姫には、ちょっと気の毒だけどな。
大切なのは、この国の人々の幸せだからしょうがない。




