5-2 クリスティア王国の思惑は
5ー2 クリスティア王国の思惑は
エレクシア王国は、今や、世界の交易の中心となっていた。
国が豊かになっていくと、他国からの駐在大使がおかれるようになってきた。
彼らの目的は、姫との会談だった。
姫は、女王であり、そして、未だに、独身である存在として注目されていた。
各国は、次々と若い王子たちを送り込んできたが、姫は、そういった人々には、少しも興味をしめさなかった。
「私の国は、我々が自力で造ったのです」
姫は、言い放った。
「私は、欲しいものがあれば、自分で手に入れます」
確かに。
俺たちは、いつだって、そうしてきたのだ。
なんと、クリスティア王国からの大使も来ていた。
クリスティア王国からの大使は、姫のいとこであるクリスティア王国第2王子で、あの魔女ヨハンナの息子であるラムニス・フラス・クリスティアだった。
彼は、姫や俺にわびを入れ、必死に機嫌を取り繕うとしていた。
「いろいろな行き違いがあったけれど、我々は、基本的には、いつも、あなた方の味方だった」
なにがじゃ!
俺たちは、思っていた。
俺たちが困っていたときに、一度だって手を差し伸べてくれたことがあったんですか?
俺たちは、いまだにみんな、クリスティア王国に対しては、怒りを持っていた。
だが、大使は、受け入れることにした。
「器が違うことを見せつけるため」
と姫は言っていたが、俺は、まだ、姫には、母国への憧憬があるのだろうと思っている。
俺が、彼らを受け入れることにしたのは、別の理由があった。
なぜ、クリスティア王国が勇者を召喚しようとしたのかが、まだ、俺たちには、謎だったからだ。
魔王討伐とかが目的ではなかった筈だ。
クリスティア王国は、魔界から離れているし、直接の脅威は、なかった筈だった。
ヨハンナは、なんのために勇者を必要としていたのか?
それを調べるために、俺は、クリスティアの大使を受け入れるように進言した。
今の俺は、もう、もといた世界に帰りたいとか思っているわけではなかった。
だから、帰るための方法を知りたくて、というわけではない。
確かに、残してきた家族のことを思い出すことはあった。
だが、我が家の家訓は、独立独歩だ。
いつかは、家族から離れるときは来るのだ。
そう、俺は、思うことにしている。




