4-5 大人の階段のぼりますか?
4ー5 大人の階段のぼりますか?
商談を済ませて、船へと帰った俺たちをとんでもないサプライズが待っていた。
深夜に小型の空舟でそっと船へと戻った俺たちを甲板で白い影が迎えた。
「おかえりなさい」
風にそよぐ美しい黒髪に、黒曜石のような黒い瞳をした美少女が麻のワンピース姿で船の甲板に立っていた。
誰?
俺は、頭がグルングルンなっていたが、それが誰かはわからなかった。
「ひどい、カナメ」
美少女がぷぅっとふくれてみせた。
「僕のこと、忘れちゃったの?」
僕・・?
俺は、恐る恐る聞いた。
「アズミ・・ちゃん?」
アズミちゃんは、ぱぁっと花がほころぶように微笑んだ。
「やっぱり、わかってくれたんだ。カナメならきっと、気づくと思ってた」
くそっ!
かわいいなっ!
これで、男でなければ、ほっとかねぇんだが。
って、男、だよね?
あれ?
俺は、混乱していた。
アズミちゃん、なんか、胸が・・?
胸が、ある?
どういうこと?
パニックになっている俺を見て、アズミちゃんがくすっと笑った。
「カナメ、大丈夫、だよ。僕、大人になったんだ」
はい?
俺は、ハトマメ状態でアズミちゃんを見つめていた。
そういえば、なんか、少し背が伸びてる?
手足もすらりと伸びて。
髪も少し、長くなって。
ますます混乱してきている俺に、エリオスは、しょうもなさげに言い放った。
「竜人は、子供の時は、両性具有だが、大人になると男か女、どちらかになる。リゲル様は、女になったんだ」
ええっ?
アズミちゃん、女の子になっちゃったの?
俺がまじまじと見つめていると、アズミちゃんが頬をポッと赤く染めて俺を見上げた。
「僕、ヘン、かな?カナメ」
「いや」
俺は、きっぱりと言った。
「変じゃない。かわいい、よ、アズミちゃん」
うん。
なんか、よくわからんが、かわいい、は正義だ!
アズミちゃんが嬉しそうに微笑む。
天使!
天使だ!
みなさん!
ここに天使が降臨しています!
「しかし」
エリオスが難しい顔をして呟いた。
「早すぎる。リゲル様が成人するまで、まだ、時間があると思っていたのにこんなに早く大人になられるとは」
「どういうこと?」
俺がきくと、エリオスは、言った。
「リゲル様が成人されたということは、正式に、この魔界の王となられたということだ。もはや、我々が隠し通すことはできん」
はい?
俺は、なんのことやら理解できなかった。
「つまり」
エリオスは、答えた。
「竜のフェロモンが駄々漏れになって、すぐに、ここにリゲル様がいることがみんなに知られてしまう、ということだ」
竜のフェロモン?
なんですと?




