4-4 美味しいものでもてなしますか?
4ー4 美味しいものでもてなしますか?
こうして雨に閉じ込められたこの季節に、俺は、たくさんのお菓子などを作りストレージに保管した。
保管したのは、お菓子だけではなかった。
俺は、いい香りのするクルングの木のチップで燻して薫製にしたムーアの肉のソーセージやハムも作っていた。
いつの間にか、俺は、『異世界料理人』の称号を得ていた。
そして。
長くて憂鬱な雨季が終わるといよいよ夏がやってきた。
俺とアリサと姫とエリオス、アズミちゃん、それに数名のエリオスの部下たちで再び魔界へと旅立つことにした。
今度は、空舟に塩と香辛料などの他に、村の女たちの織った麻や絹の織物を積んでいくことにした。
麻も絹もこの世界では、珍しい織物だった。
1週間の船旅の後、俺たちは、魔都 クロウナーゼに到着した。
が、アズミちゃんは、この間に風邪をひいたのか熱を出して寝込んでいた。
俺は、心配で仕方がなかったが、エリオスが言うには、これは人間の知恵熱のようなものなので心配ないとの事だった。
俺は、後ろ髪引かれる思いだったが、アズミちゃんをアリサと姫に任せると、エリオス、ことエリオットと共に魔王城へと向かった。
「よく来られた、カナメ殿」
リイルが出迎えてくれた。
俺たちは、前回と同じように塩と香辛料、そして、織物と引き換えに魔石を箱に3箱分ほど手に入れることができた。
俺は、交渉の後、リイルや城の人々に言った。
「前回は、もてなしていただいたので、今度は、我々がみなさんをおもてなししたいと思います」
俺は、魔王城の広間を借りると、ストレージの中に入れていた料理やお菓子などを取り出して並べていった。
エリオットも持参したクリスタルのグラスなどを並べるのを手伝ってくれた。
小1時間ほどで、俺たちは、宴会場の準備を整えてリイルたちを招き入れた。
「どうぞ、召し上がってください」
城の人々は、俺の持ってきた料理やお菓子に舌鼓を打ち、果実酒で乾杯した。
「これは」
リイルは唸った。
「これほど食事がうまいものだとおもったことはなかった」
城の人々は、俺の用意したものを全て食べ尽くした。
リイルの命を受けて城の調理人が俺に料理を教えて欲しいと頭を下げてきたので、俺は、肉の焼き方や、香辛料の使い方などを教えてやった。
また、ケーキやお菓子やらの作り方も尋ねられたので後でレシピを届けることを約束した。




