3-5 奴隷ですか?間に合ってます。
3ー5 奴隷ですか?間に合ってます。
俺たちは、エルフの街 グロリィから少し離れた場所に船を停めると船全体を隠して外から見えないようにした。
「アリサたちは、ここで待ってて」
俺は、『スキル 擬態』で猫耳族に変化すると船から降りて、そのまま歩いてグロリィの街へと向かった。
歩いていくと、街の少し手前辺りで、なにやら騒々しい物音がした。
どうやら、商人の荷車が賊に襲撃されているらしい。
俺は、そっと木陰に身を隠して様子を見ていた。
商人が雇っていたらしい連中は、すでに逃げ出しており、荷車には、年老いた老婆がただ一人、残って賊の刃の前に立ちふさがっていた。
「何者じゃ?」
「あんたがそれを知る必要は、ない」
賊の中のリーダーらしき熊男が唸るように言った。
「ただ、奴と関わったことを恨んで死ね!」
ヤバい!
俺は、銃弾を取り出すと魔導銃へと装填した。
俺は、魔界に来るにあたって銃弾を大量に造って収納袋の中に入れておいたのだ。
荒事はないのが一番だが、たぶん、避けては通れないだろうからな。
俺は、荷車の側面に立っている賊のリーダーらしき熊男を銃で撃った。
乾いた音が響いて、男の上半身が吹き飛んだ。
「ぎやぁあぁっ!」
リーダーの死骸を前に、他の連中は、叫び声をあげながら散り散りになって逃げ出した。
「大丈夫ですか?」
俺は、荷車に駆け寄ると商人らしき老婆に声をかけた。
長い白髪を後ろで束ねた、犬耳族らしきその老婆は、俺に感謝の言葉をのべた。
「ありがとうございます、旅のお方」
「荷は、無事ですか?」
俺がきくと、老婆は、慌てて荷車の中を覗き込んできいた。
「ご無事ですか?エリオス様」
「ああ」
荷車の中から低い男の声がきこえた。
「大事ない」
「よろしゅうございました」
老婆がホッとした様子で、吐息をついた。
俺は、逃げ出した馬が近くにまだいたので、それを連れてくると、荷車に繋いだ。
「じゃあ、行きますよ」
俺が荷車を動かそうとすると、御者台の隣に腰かけた老婆が言った。
「その前に、あなた様にお願いしたいことがあるのです」
「なんです?」
「私は、奴隷商のリリスと申します」
老婆は、俺に言った。
「本当に、助けていただいた上に、このような勝手なお願いをして申し訳ないのですが」
「いや、別に、かまいませんよ、リリスさん」
俺は、答えた。
「俺でできることなら。あっ、俺は、冒険者のカナメです」
「カナメ様」
リリスさんは、少し、黙り込んでから、思いきった様に言った。
「今、後ろに積んでいる奴隷は、おそらく、この魔界国1の強者の奴隷でございます。どうか、この奴隷を貰っていただけないでしょうか?」
はい?
俺は、困って半笑いになって答えた。
「せっかくですが、俺は、奴隷は」
「どうか、この国のためだと思ってお受け取りください、カナメ様」
リリスさんは、俺の手をとって頭を下げた。




