3-4 もしかして、ツンデレなんですか?
3ー4 もしかして、ツンデレなんですか?
結局、俺は、姫の要望を聞き入れることにした。
ジルとナジの見送りを受けて、俺とアリサとアズミちゃん、姫、数人の村人たちは、魔族の都へと旅立った。
船のコントロールは、魔導士のアリサが担当してくれているから、俺は、アズミちゃんにこれから行く魔王城のことをきいていた。
アズミちゃんは、うつむくと小声で言った。
「城のことは、だいたい、宰相のフェンリル族の族長であるリイルがやってくれてる。僕の教育係だったのは、猫耳族の魔導士 グレイス。後は、メイドたちぐらいしか、僕は、知らない。僕は、みんなに嫌われてたから。いつも、自分の部屋から出ちゃダメって言われてたから」
マジか。
「なんで、嫌われていたの?」
姫が割り込んできた。アズミちゃんは、あまり言いたくなさげにしぶしぶ口を開いた。
「僕の母上が奴隷だったから」
「ええっ?」
アズミちゃんは、ぽつりぽつりと話し出した。
自分の母は、人間の奴隷だったこと。
魔族の国では、捕虜たちを奴隷にしていること。
人の奴隷たちは、特に酷い扱いを受けていること。
前王であるアズミちゃんの兄が突然病死した時、アズミちゃんが魔王になることになったのは、父である竜神の意思だったということ。
「うーん」
俺は、唸った。
これは、手強そうだな。
「作戦変更しますか?カナメ」
姫が俺にきいたので、俺は、頭を振った。
「このまま、魔族の都に直進するぞ」
「でも、受け入れてもらえないんじゃ?」
姫が問うので、俺は、答えた。
「受け入れるさ。奴等は、きっと、俺たちを受け入れることになる」
「なんで、そんなことがわかるのよ?」
「それは、魔族が強者が好きな連中だからだよ」
俺は、自信満々で言った。
「俺、強いだろ?」
「けっ!」
姫がぷいっと横を向いた。
「何が、俺強いだろ?よ。いい気になってると怪我するわよ、カナメ」
あんたに言われたくないし。
俺は、半笑いで言った。
「まあ、それはそれで」
俺は、溜め息をついて、コントロール室にいるアリサに連絡をした。
「少し、城に入る前に情報収集をしたいから、手前の町に降りたいんだけど」
『了解しました』
アリサが答えた。
『では、ここから一番近くにある街、グロリィの辺りに停船します』
「グロリィか」
俺は呟いた。
ピコン、とウィンドウが開く。
『グロリィは、人口9千人の街。主に、住人は、エルフ族』
ふぅん。
エルフかぁ。
俺は、ファンタジー感のある種族の街に行くことに少し感動していた。
すげぇな。
エルフかぁ。
「カナメ」
姫に呼ばれて、俺は、おざなりに返事をした。すると、姫が思いっきり、俺のほっぺたをつねりあげた。
「いてっ!いてててっ!」
「ふん」
姫が不機嫌そうに言った。
「何、いやらしい顔をしているのですか!」
はい?
俺は、そっぽを向いている姫の横顔を睨み付けた。
姫は、ぽっと頬を赤らめていた。
「いつもいつも、他の女の子とばかりイチャイチャして」
はい?
もしかして、ツンデレなんですか?
俺は、心の中で呟いた。
わかりにくいなぁ、もう!




