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2-12 お菓子を作ろう!

2ー12 お菓子を作ろう!


とはいえ、この村の周囲にある国といえば砂漠の民の国と魔族の国しかなかった。

俺は、ナジや、アリサと話し合い、砂漠の民へと小麦や米、野菜を売りに行くことにした。

砂漠の民は、水を得たとはいえ、今だ、飢饉の影響が強かった。食料は、彼らが今、喉の奥から手が出るほど必要としているものだった。

だが、いかんせん遠いうえに大量の輸送手段もない。

「砂漠をいく船でもあればいいんだがな」

ジルがポツリと呟いた。

うん。

俺は、ぽん、と手を打った。

「それは、いい考えかも」

俺は、船を造ることにした。

といっても海や河をいく船ではない。

陸地を走る船だ。

魔力を動力源として地上に浮かんで空を走る船。

重力を制御する必要があるな。

俺がそう思ったとき、ピコン、とウィンドウが開いた。

『裏スキル 重力制御』

マジか。

こうして出来たのが、空船と呼ばれる船だった。

巨大な、といっても家3軒ぐらいの大きさにすぎないが、とりあえずは、十分な大きさだった。

俺たちは、この空船に、『レイファ』と名前をつけた。

この世界の言葉で、先を見るものという意味があった。

アリサとジルは、数人の村人と共に『レイファ』に小麦と米、長期間もつ野菜、そして、ムーアの肉などを積み込むと砂漠の都クリシュナーダ・クスタリカへと向かって旅立った。

俺は、幻の都へ と彼らが迷わずに行けるように、広域探索用のレーダー的な魔道具を船に装備しておいた。

「では、いってきます」

俺たちがこの村に来たのは、春頃のことだった。

今、再び、クリシュナーダの都を目指そうとしている俺たちだったが、はや、季節は、冬へと移ろうとしていた。

アリサたちが旅立って、しばらくして、雪が降り始めた。

村は、白銀の内に閉じ込められるようになっていった。

だが、その間にも、俺たちは、忙しく働いていた。

ムーアやポーテの世話やら、新しい魔道具の開発。女たちは、機織に励んでいたし、子供たちは、姫が作った学校に通って勉強をしていた。

「これからの国を背負う子供たちに学問をさせなくては」

というのが姫の考えだった。

たまには、姫もいいことするんだな、と俺たちは思って喜んで協力していた。

俺は、冬の間に村の新しい特産物になるかもと思って、米で酒を作ったり、醤油や、味噌を試作していた。

それに、菓子、だ。

この世界に来てから、俺は、菓子を食べてはいなかった。

姫にきくとこの世界には、菓子もあることはあったが、そんなに多くは種類がないとのことだった。

俺は、なんとかして、うまい菓子を作ろうと思った。

ピコン。

ウィンドウの開く音がした。

マジですか?

まさか、菓子作りまで、サポートしてくれるんですか?

そう、俺が思っていたら、ウィンドウに思わぬものが出てきた。

『裏スキル 異世界辞典』

なんのことかと思ったが、つまり、調べたいことがなんでも出てくる辞典だった。

俺は、まず、ケーキの作り方を調べてケーキを作ることにした。

だが、ケーキを、というか、お菓子を作るためには、まず、必要なものがあることがわかった。

それは、砂糖だった。

辞典で調べたら、この世界では、パニュラという根菜から砂糖を作っているらしかった。

だが、俺は、あえてもとの世界での砂糖の作り方を選んだ。

俺は、畑の一角に空気壁で温室を造ると、そこでサトウキビを栽培することにした。

『大地の加護』のおかげですくすくと育ったサトウキビから俺は、黒糖を作った。

しかし、まだ、足りないものがある。

ケーキを焼くためのオーブンだ。

俺は、竈を改良して、オーブンを造った。

そして、ケーキ作りが始まった。

小麦と、ムーアの乳と、ポーテの卵、それに、黒糖と森で集めた木の実で簡単な、パウンドケーキを作ることにした。

俺は、一人っ子で、両親は、共働きだったから、けっこう料理には慣れていた。

『異世界辞典』を見ながら、俺は、ケーキを焼いた。

甘い香りが辺りに漂い、姫やら、屋敷の使用人やら、みんなが集まってきた。

俺は、焼きたてのケーキの試作品をみんなに切り分けてやった。

一口食べたら、みんな、感極まった様子で、言った。

「うんまい!」

「すごい、おいしい!」

「こんなもの、食べたことないですぅ!」

俺たちが、こんなことをしている間に、アリサたちが無事に村へと帰ってきた。

彼らは、小麦などの農作物やら、肉やらを砂漠の民の女王ザナドゥに売り、代わりに、砂漠の民から香辛料、塩、そして、砂糖、果物だどを仕入れていた。

それは、俺からの指示だった。

「こんなものを買ってどうするんです?カナメ様」

俺に問うアリサに、俺は、にやり、と笑った。

「大丈夫、だ。俺に考えがあるんだ」


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