再度、“決闘”の約束
マリアに“ステータス・オープン”をしてみることに。
マリアがギュッと目を堅くつむっている。
そんなに怖いものでもないんだけれどな、やっぱりこの世界の人には“未知”の魔法だからか、それでも自分が弱い“聖女”だから怯えがあるのか。
でも、それが今ならば明らかになる。
「“ステータス・オープン”」
私の言葉と共に、マリアのすぐそばにステータス画面が!
まだマリアは目を閉じている。
そして私は、
「マリア、ステータスを私も見ていいかな?」
「は、はい」
そう返事をもらったので私は見ることに。
マリアの名前の横に本名まで載っている。
そしてそのすぐ下には、
「この世界でただ一人の“聖女”だって」
「……え?」
「見ればいいよ、ここに書いてあるから」
マリアが恐る恐るといったように瞼を開く。
そして自身のステータスを見て口に手を当てた。
しばらくそれを凝視していた後、
「わ、私……“本物”なんですね」
「うん、この世界唯一の“聖女”らしいね。でもこの世界の唯一って、私はどうなんだろう?」
「ミドリちゃんは異世界の方ですから、この世界の方ではないですね」
「そういえばそうだった。よし、でもこれでマリアが本物の“聖女”だって分かったし、クロードに伝えてこよう」
「そうなのですか?」
「うん、もしもマリアが“聖女”でなかったら、その“聖女”の認定法がおかしいから、本物が人知れず“闇の影”に殺される危険性があるんだって」
「! なるほど」
「でも、本物だから“聖女”のマリアも危険だから注意してね。後でリーン先輩に“聖女”のためのアイテムを渡してもらえるよう頼んでみよう、うん」
そう私は決めて、そしてお祝い代わりに、夕食を一緒に食べよう、という話になったのだ……が……。
「……マリアを唆すな、異世界人」
「……何でクレイがここにいるの? ここ女子寮の前だよ? クレイって実は女の子だった?」
「何処からどう見ても俺は男だろうが! というか男子寮の前で俺はお前に会っただろう!」
「そういえばそのような事もあったような記憶の彼方~」
「あったんだ! しかし俺は騙されないぞ、一体何を言ってマリアを味方につけた。マリアは素直だから、お前たちのような……腹黒い……人間に騙され……」
そこで段々と声が小さくなっていくクレイ。
私をじっと見てから、
「……腹黒、とは言えないよな。あれだものな。一直線に突っ走って、止まらないタイプだから……だ、だが、お前は信用できない。不安に思ってついてきたら、案の定マリアを唆して!」
「クレイ、一ついいか?」
そこでクロードが手を挙げた。
しかも私を指さして、
「このミドリが、権謀術数に長けた人物に思えるか? 魔法は火力と言わんばかりの脳筋だぞ?」
「……い、いや、そうだ、お前が裏で暗躍をして……」
「ミドリが俺のいう事を素直に聞くと思うか? 聞いてもらえたら俺、もう少し楽できたと思うんだが」
「う、うぐ、だが、お前たちは信用できない。マリアを唆しているんだ! だから……明日、もう一度“決闘”を申し込む、いいな!」
そこで私を指さすクレイ。
やっぱり圧倒的な力で倒したのは良くなかったようだ。
次からは一撃必殺で、倒された記憶すらもなくなるように瞬時に倒す必要があると私は解釈する。
だからにたりと笑って頷くと、
「そ、そうか、分かった。明日、逃げるなよ」
「うん、分かった。それでこれからマリアも一緒にご飯を食べに行くのだけれど、クレイも一緒に来ない?」
「……」
「“ステータス・オープン”したらマリアがこの世界で唯一の“聖女”なんだって書かれていたんだよね」
「……え?」
「それのお祝いも兼ねているから、とりあえず私達だけでちょっとお祝いをしようと思うの」
「だ、だったら他の人達も……」
「うーん、まあいいからいいから」
「ちょ、俺の手を引っ張るな」
「マリアもクレイのもう片方の手を握って引っ張っていきましょう」
「はい!」
それに何で! とクレイが叫んでいたが、巻き込まれるのが嫌なのかクロードは沈黙を保っていたのだった。




