魔法について
“聖女”の装備なのに私が装備できない事案が発生!
なんという事でしょう、“聖女”なのに何だかよく分からない伝説のアイテムが使えないという!
「これって私の特殊能力に影響しているのかな?」
「いや、ミドリの魔力自体が異様に大きいだけだ。異世界から物を呼ぶと異常なものが手に入るからそれと同じで、異世界から呼ぶと魔力が大きくなる場合があるというか、この世界に言語適性などがあるって事はこの世界の魔法に近いのか。それも膨大な魔力を持ってしまうからその適性があるのか……」
「私の魔力ってそんなに大きいんだ。でも私達の世界に“魔法”がないけれど、魔力を使い切るとどうなるんだろう?」
ちょっとした疑問だったのだけれど、リーンフリークスが笑顔のままで固まる。
「ミドリちゃん、今、ミドリちゃんの魔法がないって聞こえたのだけれど」
「ミドリの話は話半分に聞いておけばいい。そもそもこんな特殊能力を言い出す人間がまともだとは思えない」
クロードがリーンフリークスの言葉を一蹴してしまう。
酷い話だと私は思ったが、それぐらいまでにこの世界の人間にとって、“魔法”のない世界は想像できない世界なのだろう。ともあれ、
「でもじゃあ、“魔法”のない世界に私がいたと仮定して、この今の魔力を使い切ったらどうなるんだろう?」
「もし“魔法”のない世界にミドリがいたとしたなら、ただ単にミドリが使わない能力だったんだろう。もしくはその程度の魔力で“事象”を起こせない世界だったか」
「……そういえばこの世界の魔法って何? その根本的な話は私は知らないや」
「そういえば説明していなかったな。神話でいいか?」
「いいよ。魔法ってそこまでいかないといけないんだ」
話が長くなりそうだと思っているとそこで、
「この世界の神様は、この世界を作った。魔法で。だからこの世界の人間は魔法が使える。以上」
「……短い」
「そういう物だから仕方がないだろう」
「うーん、じゃあ、“闇の影”もそうなの?」
「あれは世界を作り出した時に、神様と対をなすように現れた怪物だ。それ故に神様は人の中に紛れて生まれ変わっているらしい」
「そうなんだ~。知らなかった」
私が頷いているとそこでリーンフリークスが、
「でも人の中に紛れているは、神話の中でも亜流の方ではなかったかな? 主流は、今でも我々を見守ってくれていて、“聖女”を生み出し、我々に力を貸してくれるのだ、とかなんとか。神殿が力を持っているけれど彼らがそれを主流の説に押しているしね」
「神殿か……どんな所なんだろう」
「閉鎖的な所だから、あまりミドリちゃんは行かない方が良いかもしれない。異界の“聖女”問いって何をされるか分からないからね」
「うー。神殿は諦める。でもこの世界のいろいろな所に入ってみたいな」
「例えば?」
リーンフリークスの問いかけに、私が真っ先に答えたのは、
「ギルドです!」
「ギルド?」
「そうです、そこでギルドカードを作って探検をしてみたい!」
「初級冒険者になりたいんだ、ミドリちゃんは。でもそういった授業もそのうちあると思うよ?」
「本当ですか! 楽しみです」
「とはいえ多分、ここに来ている人たちのほとんどはギルドカードも持っているし、ミドリちゃんが言うようなちょっとした冒険も経験済みだろうね」
「わ、わたしだけが冒険できていない」
今更なh柄さらに衝撃的な事実を知る。
だから私はクロードに向かって、
「チュートリアル君、私、ギルドカードが欲しい。そして冒険したい」
「……分かった。冒険させてやる。だが、今回この学園にいる“闇の影”を倒してからだ。そうしたら、一時帰宅もできるし、遊びにも連れて行ってやる、俺が」
「わーい。何だかデートみたいだね」
「デ、いやいや、ただ単に、遊びに連れて行ってやるだけだから、ミドリを」
「? なんでそんなに焦っているの?」
「いや、何でもない。というかリーン先輩は何時も離れた所でニヤニヤしているだけですね」
そこで、クロードが話をリーンフリークスに振る。
確かにニマニマと楽しそうにリーンフリークスは笑っている。と、
「いやいや、面白い光景だからね。でもミドリちゃんは元気になったみたいだね」
「あ、そうだ伝説のアイテムが……仕方がない、いいもん、自分で後で作ってやる」
私がそう呟くとそこでクロードが何故かびくりと肩を震わせた。そして、
「……これで既存のアイテムよりもすさまじいものが出来たらどうしよう、ミドリだし」
「……どうしようか。この伝説のアイテムを守る意味が薄れちゃうけれど、僕もどうしようか」
リーンフリークスもそんなことを言い出した。
確かに強力なアイテムが出来れば、だが、そこまで強力な出来になるかは分からない。
するとそこでリーンフリークスが、
「でもどうせ“聖女”が装備しないと効果のないアイテムなら、敵にわたっても問題ないし、むしろ壊される危険が少なくていいか。もしくはミドリちゃんが作ったアイテムをこれからは伝説のアイテムにしてしまうか、かな」
リーンフリークスがそんな風にいい出だして、私の愛t無がこれから伝説のアイテムになってしまう可能性が出てきた。
それは一体どうなんだろう、と思った所で私はあることに気付いた。
「そういえば、この学園に伝説の“聖女”のアイテムがあるって、“闇の影”はしっているのですか?」
「そうだね……伝説としては残っているから知っているんじゃないかな」
「“闇の影”はどうやって知ったのかな? 横のつながりはあまりないんですよね」
「そのはずだけれどね。でもここに現れたのなら、気づかれていると考えていいのかな。あの洞くつにも侵略していたし、父も場所を移動させているあたり……それに」
「それに?」
「“闇の影”が人と一体化しているのならその人間の知識が使えるから、その“聖女”のアイテムの伝説は知っているかもしれないね」
「なるほど、とりついた人の知識ですか。それでここに来たと」
人にとりつくとその人物の知識も使えるようになるらしい。
面倒な怪物だなと私は思いつつ、もしも、このアイテムを狙っているのだとしたら、
「“闇の影”だったらわざわざとったところで襲うより外に出てから襲うよね。その方が広いし準備ができる」
「それに、ここには入れない。“黒の影”を使えばいいのだけれど、僕なら出てきたところをそうね。こんな場所にまでわざわざ探すのは面倒だし、浄化装置もあるしね」
「あれは“黒の影”にも効果があるのですか?」
「痛みを感じるらしいよ」
リーンフリークスが同意し、そう答える。
そしてその言葉を聞いていたクロードが小さく呻いた。
「もしかしたならここの塔を出ると襲われる可能性があると?」
「そうだね。彼らにとっては、このアイテムの破壊でもいいから、僕達を生かしておこう、怪我をさせないでおこうなんて考えないだろうね」
「……でもそうなると俺達の行動を見張っている存在がいるって事だな。だから目立ちたくなかったのに」
ちらりと私はクロードに見られて、
「だ、だって……」
「過ぎたことは仕方がない。準備だけはしておこう。それに、建物の外ならミドリの強い力でも多少は使いやすいだろう」
クロードが私にそう言ったのだった。




