内部に潜入中
開いただけで埃があふれていたのもあって、中に入るとそこかしこに置かれた備品のような物から始まって謎のツボなども置かれている。
この中に実はすごい魔道具が眠っていた、と言われても納得しそうな無造作に置かれた品々。
物置と言っていたが実際にそうなのだろうと思わさせられるには十分だった。
しかも降り積もる埃は数センチにも及びそうである。
それを見たリーンフリークスが、
「埃だけは数年に一度掃除はしているのだけれどね。ここと二階は」
「……その上は更に凄いことに」
私はつい呟いてしまう。
これ以上の惨状が待ち受けているのだろうか? と思っているとリーンフリーククスは苦笑して、
「いや、以前の“闇の影”との戦いの関係で浄化の魔法などがかけられた魔道具がおかれているから、その付随効果で綺麗なままなんだ、それより上の階は」
「その装置は、ここには置けないのですか?」
「うーん、よく使う場所だと壊れそうだしそれに……“聖女”の存在はよく秘匿されてしまうからその分そう言った浄化の道具も手に入れにくくて“高い”から」
どうやら予算の関係であるらしい。
でもそれを考えると、
「私も“聖女”だから作れるのかな?」
一応は異世界から呼ばれたといっても“聖女”だからそういったものも作れるのかなと私は思ったのだ。
その私の言葉にクロードが、
「“聖女”だからって魔道具作りの才能がないと無理だぞ。ただ“聖女”は器用な人間が多いから魔道具やそういった防御用の特別な布を作り上げたりと色々な能力を持っていたりするが」
「魔道具作りの才能……一応、私の選んだ能力でそれっぽい物もあるから、後で作ってみようかな。そうしたら自動で“聖女”としての浄化効果がつくの?」
「……つくだろうな」
「よし、後で調べてみよう」
私はやる気を出してそう答えると、クロードがまた疲れたように肩を落として、
「ああ、また妙なものが……いや、よそう、考えるのは」
そろそろ慣れてきたらしいリーンフリークスが笑っている。
そう言いながら更に私達は奥の階段に向かい上の階に向かっていく。
と、そこでクロードが、
「マリアとは昨日何を話したんだ? 随分と今朝は仲が良さそうだったが」
「うん、いろいろ話を聞いたよ。“聖女”が何人もいるとか」
「ありえないな、せいぜい、“聖女”が生まれるのは2人だけだ」
「え? でもマリア、“聖女”の中では自分が弱い方だって言っていたよ?」
「弱い、ね。何をもって弱いと言っているのかは分からないが、そんなに何人もいるとは思えないな」
「じゃあ何で何人もっていったのかな?」
「……どれが本物の“聖女”かあちらが分かっていないのかもな。もしくは“聖女”を判断する方法に問題があるのか……こちらからは確かめるすべはないな。直接接触して調べれば……だがマリアに出会っただけでは俺には“聖女”とは、もう分らなかったから……何かいい方法はないか」
深刻そうに呟くクロードに私は、
「それなら私が、マリアに対して“ステータス・オープン”すればいいんじゃないかな?」
「……あれか。だが、確かにアレは俺についても書かれていたし、信用は出来るかもしれないな。よし、後で使って確認してみろ」
「はーい」
とりあえずこれでマリアが本物の“聖女”かどうかが判明するだろう。
しかしやっぱり“聖女”はそんな沢山いないんだなと私は思いながらそこでクロードが、
「だがそんな風に何人もいると思っているから、マリアをこの学園に来させたんだろうな」
「そうなの?」
「偽物で木の葉を隠すなら森の中というように本物を隠そうとしているのかもしれない。陽動の意味もあるのかも」
「でもマリアが本物なんじゃないかな?」
「マリアの故郷の人達である彼等はそう思っていないのかもしれない。マリアは自分が弱いと言っていたんだろう?」
「うん、言っていたね」
「それでそちらに目をやらせるのも含めて、彼等は……自分達が助かろうと“聖女”を隠してしまっているのかもしれない。その力があれば“闇の影”から助かるだろうから。もっともマリアは“偽物”かもしれないが」
クロードがそんなことを言い出した。
でも私にはそうは思えなくて、そして、
「でもそうなってくると私も“聖女”じゃないのかな?」
「それはないな。俺が選んで呼び寄せたミドリは“聖女”以外の何物でもない」
「そうなんだ、だったらマリアも“聖女”だね」
「どうしてそう思う?」
「マリアも私と同じ“選択画面”が呼び出せるようになったから」
「……そういえばそんなもの、あったな」
「しかも昨日見たら、私とマリアで合わせ技が使えそうなんだ~、すっごく強力な魔法。それも“神聖魔法”」
「……ミドリがすっごく強いってどれくらいの規模なんだろうかと真っ先に不安に思う俺は疲れているのか」
どこか遠い目をしてクロードが呟く。
そこでカギのかかった扉の前に来た。
装飾の施された頑丈な扉で、絶対に人が入り込まないようにといった雰囲気がただよう。
二階にこんなドアがあったのかと思っているとリーンフリークスが、
「興味深くて面白い話だけれど、そろそろあの暗号のようなものの答え合わせをしようよ。内容は覚えているかな?」
「『暁の塔に眠るは、女神の願い。古き歌を奏で、恋願うはかつての花畑の約束』ですね!」
「ミドリちゃん、正解だね。それでどちらから先に言う? クロード君?」
そこでリーンフリークスがクロードに問いかけると、クロードが、
「状況を見ないと分からないが検討はつけてきた」
「僕も同じだよ。結局実物を見ないと無理そうだと思ったからね。さてと鍵が開いて。……行こうか」
そうリーンフリークスが言って重い扉を開いたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




