違和感を感じる
現れた隠し扉!
どう考えても歩いている糸中の洞くつの壁にしか思えない。
けれどリーンフリークスが壁に触れて魔力を注入すると同時に、青い光の線が折れ曲がる様に走り、私の身長よりも1.5倍くらいの高さの扉が現れる。
そのくらい扉からはすうっと冷気が放出されている。
確かここが、重要アイテムの入り口だった気がする。
でもこんな道ではリーンフリークスに案内してもらわないと分からないけれど、確かここの場所を示す、目印があったはず!
「……“オレアタケ”というキノコを模した置物が目印」
「……ミドリちゃん、それは正解だから口には出さないように」
「はーい」
「また目印を変えておかないと。いざという時にきちんと感覚で場所が分かるようにと僕は言われているけれど、“竜”の血が薄くなった僕は感覚が鋭くないんだよ」
「あれ、そうなのですか?」
「そうそう、ここを住処にしていた“竜”の末裔。だから……攫った“聖女”と恋に落ちた“竜”の末裔だから、“聖女”かどうかわかるんだ。これで、納得してくれたかな?」
そこで振り返りリーンフリークスは、クロードとクレイに告げる。
クレイはまだ警戒しているようだが、クロードはまじまじとリーンフリークスを見て、
「この妙な気配は“竜”にまつわるものか。……そんなものも感じ取れなくなっているのか、俺は」
ぽつりとつぶやいたクロードの言葉。
でも今の言葉だとまるでクロードが“弱く”なっているように聞こえる。
だがここで私は気づいた。
「そういえば私、チュートリアル君の実力を知らないや」
「……ミドリ、俺はここまでくる間も含めてずっと、そうずっとだ、ミドリが自分で勝手に突っ走って行くのをひたすら止めたり後処理をしたりといった事しかなくて、俺自身が活躍をできる場なんて一つもなかったんだが、何か言いたいことはあるか?」
「でも私に丸投げするために呼んだんだよね?」
「ああ、そうだな、ある程度丸投げしようと思ったらあんな超火力で……」
切なげに呟き始めたクロードだが、これ以上言っても過去の事を言われ続けるだけのような気がしたのでそれ以上は私は何も言わなかったのだった。
さて、そこから中に入っていくと人一人通れる通路の先には、広い部屋が一つある。
どれくらい広いかというと、“決闘”をした闘技場よりも広いくらいだ。
灰色の石で作られた一切の装飾のない部屋。
天井も壁も、滑らかな状態で、石の中を四角くくりぬいたような形をしていた。
けれどそこら中に魔力の残渣を感じる。
そう言えばこの世界に来て私は当たり前のように“魔力”を感じ取っている。
それもこの世界の人達よりも鋭敏に。
これも特殊能力の一種なのかなとは思う。
だが分かったからと言って今はあまり関係はないさそうなのでおいておく。
何しろその魔力の残渣はおそらく、“聖女”の重要アイテムを守るための機能に使っていたのだろう。
部屋の中央にある簡素な台。
本来ならばそこに置かれているであろうそれは、どこにも見当たらない。
「まいったな、ミドリちゃんの言う通りだったみたいだね。ここは入れるのは父とまだ子供の弟しかいないから、そうなると父くらいしかいないな」
リーンフリークスがそこまで困っていないかのように呟く。
けれどそれは見た目だけなのかもしれない。
そこでクロードが、
「“闇の影”はここまで来れないのか?」
「色々と迷うような仕掛けも大量に施しているからね。君はもう一度一人でここに来るようにと言われたら来れるかな?」
「目印を大量に使えば」
「ここの魔物達がきれいに掃除してくれて、道に迷うことは間違いないだろうね」
楽しそうに笑うリーンフリークス、だがそれでクロードは納得したようだった。
なので私はそろそろいいかな、と思ったので、
「“探査”!」
早速この部屋を探索した。
一見何もない部屋だけれど、そこで私の“探査”に引っかかるものがある。
だからそこに向かって歩いていくと、それに気づいたらしいクロードが、
「ミドリ、何か見つけたのか?」
「うん、本当にアイテムがある場所の秘密が書かれた“紙”かな?」
「何で知っている」
「だってそこにある……はず、だから?」
そう、そこにはリーンフリークスの父が残したメモがあったのだ。
確か何かここに無くなってしまったヒントがあるのではといって……。
でもそれは、“何”の光景だっただろう。
それにそのメモは、私の向かって右側ではなく左側で、でも今引っかかったのは……。
違和感を感じる。
何かが違っていて何かが同じだ。
これは一体なんだろう? そう私が思っている所で何かが、こちらにやって来たのだった。
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