同じだから、使える
マリアが言うには、一週間ほど前から私が望んだ特殊能力のようなものが使えるようになってしまったらしい。
一週間前。
この時期にいったい何が……と私は思って、
「あ、私がこの世界に召喚されたのが、丁度その頃だったよね」
私は呟く。
そうだ、私がこの世界に連れてこられて特殊能力、“わたしのかんがえたさいきょうのげーむのうりょく”を手に入れた頃だ。
そこで私は全員が沈黙して私を見ているのに気づいた。
あれ? 私何か変な事を言ったかな? と私が思っているとクロードが深々とため息をついてから怒ったように私の両頬に手を伸ばし、
「だからどうして俺が説明する前に、話す! この口か、この口が悪いのか!」
「ふぃにやられろ~(頬を引っ張らないでよ~)」
頬を引っ張られて私はクロードに抗議した。
なんでそれを言ってはいけないんだと思っているとそこでマリアが、
「あの、今、異世界から召喚されたって」
「言ってない。ただ単に、ミドリが“頭がおかしい”だけだ」
クロードが、私の事をそう言い出した。
酷い! そう思った私はクロードの手を引っ張り頬から放してから、
「チュートリアル君、なんでそういうのよ。勝手に異世界から召喚して“聖女”をやれって言いだしたのはそっちじゃない」
「……だから、どうしてこう……段階ってものがあるんだ。そもそも“聖女”召喚は秘密裏に行われた魔法なのに」
「そうなの?」
「そうなんだ、はあ……ここにいる全員の記憶を消さないといけないか」
そこでぽつりとクロード君が何か怖い事を呟いた。
冗談かと思ったがどうやら本気であるらしく、真剣な表情でいる。
どうしようと私が思っているとそこでマリアが、
「“聖女”なのですか?」
「うん、そうらしいよ。私は良く知らないけれど。何でも“闇の影”とその配下の“黒の影”を倒すために呼んだんだって。勇者召喚みたいだね」
私がそう答えると更にクロードの目が死んでいたのはいいとして。
するとマリアが嬉しそうに微笑み、
「そうなのですか。実は私も“聖女”なんですよ」
「! マリア!」
焦ったようなクレイ、そして周りの人達。
“聖女”、その言葉に私の脳内にふつりと浮かび上がった名前がくっつく。
「“聖女”ランディ・アトル、秘されし少女、古き王国の末裔にして守る者」
「! 何故、ミドリ……ちゃんがそれをご存じなのですか?」
「さあ?」
「え?」
「どうも私、この世界に飛ばされた時に幾つか“忘れて”しまったみたいなんだよね」
「忘れた?」
「うん、でも断片的に覚えていて、今の言葉でまた一つ思い出したみたい」
そう答えながらも他にも何かがあった気がしなくもないと私は思い出そうとするとそこでクロードが、
「……結果として、俺達ですら見つけられなかった“聖女”を見つけたから良しとしよう。それで、その“センタクガメン”は一週間前に出たのか? それで間違いないな?」
「は、はい」
マリアが頷く。
それにクロードが私を見て、次に、マリアを見て、
「同じ“聖女”だから共鳴しあって、同じような能力が発現したんだろう。ミドリ、後で使い方を教えたらどうだ? 多分、マリアは同じような能力が使える」
「そうなんだ、じゃああとで教えるね、簡単だし」
私がマリアにそう告げると、マリアは目を瞬かせてから、ありがとうございますと私に答えたのだった。




