未然に被害は防ぎましょう
私が触れた魔法。
選択画面を呼び出し触れたそれは、複数の対象に攻撃するものだ。
「探査結果、表示っと」
先ほど行ったこの学園内の探査を、小さく縮図にした形で私の手の平に表示する。
光で生み出された立体映像のようなそれだが、円盤状の光でそれらは青色だ。
その円盤の中は、網目を描くようなグリット線が引かれ、うすく緑色の線で上空から見た学園の建物が大まかに描かれている。
だがそれよりも重要なのは、
「このピンク色の宝石みたいな光の大きさが、“黒の影”の魔力量か。これらに最適な形で威力調整して……後は“主人公補正”がつけてあるから人への被害はなくなるから……他の属性もあるし、よし、“炎の豪雨”っと」
起動させた選択画面から魔法を選ぶ。
それらは敵を倒すのに最適な魔力量を設定してくれるらしい。
しかも私には巨大な魔力があるらしい。
“聖女”だからだそうだ。
もともと呼び出された時に適性のある人間は、巨大な魔力があるらしい。
そう言った話を以前から私はクロードに聞いていた。
今それを思い出すと同時に、私の足元に赤い光が走る。
赤く燃え盛る炎の色をしたその光は円陣を描いていく。
呪文を唱えるタイプではなく、描き出された円陣のみで発動するタイプの魔法なのだろう。
それとも探査の“情報”を反映させる関係でこういった形にならざる負えないのか。
「選択画面に表示されている魔法はそのうち説明を全部読んでおかないと」
一通り見た記憶はあるのだけれど、どうも私の記憶には欠損部分があるらしい。
それを考えると再復習しておくべきだろう。
そう思っていると私のすぐそばに更に小さな五つの魔法陣が浮かび上がり、光が走り私の足元の魔法陣と接続する。
小さい魔法陣からすぐに炎の塊が幾つも生み出されて飛んでいく。
爆音が聞こえる。
人の声も聞こえるが、おそらくは大丈夫だろう。
“主人公補正”をつけているし!
そして再び私は“嫌悪感”が消えていくのを感じながら、
「“索敵探知魔法”っと。……だいぶ減ったね、あと二つ。そこを倒せばいいわね!」
ちょうど二つほど炎の塊が噴出していったのを目撃しながら私は、少し時間をおいて“索敵探知魔法”を使う。
常時展開をしていても問題ないのだけれど、以前クロードに言われたのだ。
常に魔法を使っていると相手に気付かれやすくなるぞ、と。
だから私はこうやって一瞬の間に、周囲の空間の情報を読み取る方法に変えたのだ。
そして、再度確認して、
「よし、これで、“黒の影”の処理は終了っと。あ……そうそう、今の魔法は見なかったことにしてくださいね」
「……俺からもお願いします、見なかったことにしてください。というかミドリ、なんでまたこんな派手な魔法を……」
「“黒の影”に遭遇した場合なら初動が大切だからね。あれは人を“殺す”のが目的の兵器のような物だし」
「そうだけれど……学園内では被害が大きいか。それを未然に防げたという事で、でも今ので完全に気づかれたか?」
「大丈夫、私、強いし」
「強くたって、いきなり襲われたらどうするんだ。怪我をするかもしれないんだぞ!」
怒ったように言われた私は目を瞬かせてから微笑み、
「いつも心配してくれてありがとう、チュートリアル君」
「ま、まあ、ミドリはその……俺が呼び出したわけだし」
最後の方は照れ隠しなのか声が小さくなっていくクロード。
そこで私は目を丸くして私を凝視しているマリアに気付く。
「どうしたの?」
「……いえ、その内、ミドリさんにお聞きします」
「ミドリちゃんて呼んで欲しいな」
「で、ミドリちゃんに後で、個人的に伺います。寮の部屋を教えていただけますか
?」
そう私は言われたので何処だろうと私は思い出そうとしたが、そこでクロードが、
「327号室だ」
「そうそうそれ」
クロードが覚えてくれていたらしい。
つい戦闘などをしていたら忘れてしまった、私はそう思っているとそこでマリアが、
「そこは、私の部屋でもあるのですが」
「同じ部屋なんだ、これからよろしく、マリアちゃん」
「……はい、よろしくお願いします」
そこでマリアは私の答えに戸惑ったようにそう答えたのだった。
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