新たな敵
頭にふと浮かんだ言葉は、ランディ・アトル。
何だったっけと思い出そうとするも思い出せない。
やはり頭が……。
恐ろしい事実に気づいた私がひそかに青くなっているとそこで、
「あの、どうしてその名前を……」
「見ていたら何となく頭に浮かんだんだけれど、なんでだろう?」
「……本当に、貴方は何者なんですか?」
「ただの“女子中学生”です」
と答えてみたけれど、この名前にいったいどんな意味があるのだろうかと私は思う。
マリアの様子からも何かがおかしいし、クレイは必死になってマリアを守ろうとしているし。
そう思いながら倒れたクレイを介抱するようなマリア。
癒しの魔法を使っているようだ。
だがここで空気の読める私は、私から癒しの魔法を使ってあげましょうかなどと言わないのです!
やっぱりマリアに癒してもらいたいでしょうからねぇ。
「おい、ミドリ、何をにやにやしているんだ」
「チュートリアル君、マリアに癒してもらってクレイも本望だろうなと」
「無様な姿をさらしてしまったって落ち込むんじゃないのか? マリアの前だし」
「……」
「しかもミドリに、これでもかというくらいにあっさり負けたからな。やりすぎるなよって俺は言ったよな?」
「で、でも気絶させただけだし?」
そこでクロードが、大きく息を吸ってはいた。
自身の気持ちを落ち着かせるためだろう。
「“最終形態絶対防御”ってなんだ。俺はそんなもの知らないぞ」
「えーと、防御力が凄く高くなる魔法です」
「もう少し具体的に」
「物理防御力と魔法防御力が凄く高くなります。なのでさっきのクレイ攻撃程度は、意味がありません」
「……あの魔法は“知っている”。かなり特殊なな魔法でとても攻撃力があり……彼にとって“切り札”の一つだったろうけれど、それをこのミドリは……」
「えっと~、えへ?」
とりあえず私は笑って誤魔化すことにした。
だがクロードは誤魔化されてくれなかった。
「少なくとも目立った。とても目立った。どうしてくれる」
「頑張れ」
「く、面倒なことは全部丸投げして楽に行こうと思ったのに! どうするんだこれ、どうするんだ。……もういい、過ぎたことだ、忘れよ」
「そうそう……うーん、えーと、チュートリアル君」
そこで私は、あの気配を感じて深々とため息をついた。
クロード君も感づいたらしく険しい顔をしている。
“決闘”をしていたら何かが襲ってくるのも物語ではありがちだったような気もする。
そんなことを私は思い出しながら、私は深く息を吐いてから、攻撃以外の魔法に触れる。
いわゆる、“索敵探知魔法”である。
「突然現れたみたいだね。よしっと、これで……チュートリアル君、ここって学園なんだよね、魔法の」
「そうだな」
「強力な結界がはってあったりする? 結界は分かるけれど。ちなみに“黒の影”相手だとどの程度持つ?」
「この結界は“黒の影”相手にはあまり効果がないはずだ」
その言葉を聞きながら私はそれを感じながらクロードに、
「でも地図上では、この学園内しかいないようなのよね」
「……」
「怪物は檻の中って事なのかな? まあいいや。とりあえず全部丸っと倒しちゃいますね、丁度“ご都合主義”もついているし」
「ああ……またわけの分からない属性が」
クロードがそう嘆いた所で、私はある魔法を選択したのだった。




